〜初雪〜紅蓮
『うぅ、寒い』
「寒いなら中に入れ」
『嫌よ。もうすぐ雪が降るんだから』
「お前が風邪を引くと俺が昌浩と晴明にどやされる」
『紅蓮の事情なんて知らないわ。私は初雪が見たいの!』
「雪くらいなら中ででも見れるだろう?別に瓦に上がる必要はない」
『いーやっ!ここで見るの』
「はぁ、わがまま娘…」
そう言ってすぐに
姫を抱き上げる
『いーやーっ!離して紅蓮!!初雪見るまで中に入らない!!』
紅蓮の腕の中でジタバタ暴れるがびくともしない
「ダメだ」
『離さないとあのことおじい様と昌浩に言いつけるわよ!!!!』
「なっ…!」
紅蓮の力が緩まった隙に紅蓮の腕の中から降りて
着地する
予定だった
「えっ?」
着地したと思ったら足が宙に浮いていて
それから真っ逆様に落ちていく
落ちるのが怖くてぎゅっと目を瞑る
そして誰かに抱きしめられる感じがして
目をあけると
目の前に紅蓮の顔があった
「全くお前は危なかっしい」
『ごめん……あ、』
「どうした?…あ」
『雪…』
手を広げれば手のひらに雪が落ちて溶けていく
『紅蓮っ初雪だよ!』
「あぁ」
今年も君と一緒に初雪が見れたね
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