アイシ☆阿セナ

□2つの想い
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『僕は……最低な…卑怯な…人間なんです…っ』


大きな目から大粒の涙を流しながらセナは叫んだ。


今日は部活が終わり門太やまもり姉ちゃん達は用事があるからと早々と部室を後にした。
「セナ〜また明日なっ!」
「セナ、気をつけて帰るのよ。疲れてるんだから寄り道しちゃダメよ?」
「「「お疲れ〜」」」
皆にまた明日と言いながらセナは携帯のメール着信に気づいて携帯を開き…固まった。。。

『ヒル魔と俺、選べ。』

発信源は阿含さん。

「どーした?…セナ?」

蛭魔が涙ぐむセナに気づいて後ろから覗き込む。
「あっ…!なんでもな…いです…っ」

セナは急いで携帯を隠した。今にも泣きそうな顔をして携帯を隠すセナを蛭魔が見逃すわけもなく…蛭魔の眉間に皺がよる。

「…何を隠してやがる。」

「………。」
キュッと口を噛み俯いて答えないセナに蛭魔はイラつき不安を覚え、睨みつける。
「いぃ度胸してんじゃねぇか…言えっ!セナっ!!」

「……っ!」
威嚇されて我慢していた涙はセナの大きな目から溢れだした。怯えたセナを見てはっとした蛭魔は呼吸を整えセナを優しく抱きしめた。
「頼むから…独りで抱え込むな。俺はなんの為にお前のそばにいると思ってやがんだ…!」

「うっ…うえ…ひる…ま…さん…うわぁぁあん〜」
何かを吐き出すかのようにセナが泣き出した。その尋常ではない泣き方に蛭魔はある奴が脳裏に浮かんだ。

金剛阿含…あの糞ドレッド野郎…セナに何をしやがった…っ!ブっ殺す…。

だが今はセナをどうにかしなければ、と蛭魔は落ち着いた声で問いかけた。
「………セナ。糞ドレッドと何があった?」

「っ!」

「…セナ…。携帯を見せろ。」

「……僕は、最低な…人間なん…で…す…」
嗚咽混じりで小さな声でセナが呟いた言葉に蛭魔は目を見開いた。
「何を言ってやがるっ?!」
『セナ〜、なぁにしてんだぁ?…お前が泣くのは俺の胸だろぉがよ?』
いつの間にか入口に今にもぶち切れそうなオーラを纏って阿含が立っていた。だがセナにはサングラスの奥の瞳が怒りよりも悲しみを纏ってるのが分かった。

「あ…ごん…さん…」
なんで、なんでっ!あいつの胸で泣いてんだ!…それが…お前の答えなのかよ…。俺よりも…そいつが………

「僕…阿含…さんが…す…き…です…」

蛭魔の目が見開いた。
セナ…?俺よりも奴が好き…?それがお前の答えなのか…?

「僕…蛭魔さんが…好き…です…」

「「…は?ふざけんなっ!」」蛭魔と阿含は同時に吠えた。その声とは裏腹に二人の顔はいつもの威厳も威嚇も消え失せてすでに泣き出しそぅな悲痛な顔になっていた。

「だから…僕は…最低な人間なんです…。二人の人を好きになるなんて…」
ずっと悩んでた。いつもは怖いけど優しく顔で照れて笑う顔が大好きでずっと蛭魔さんと一緒に居たいって思った。…阿含さんに出会って、第一印象は蛭魔さんとは違う怖さで僕は怯えた。でも…急に現れて無理矢理連れまわされたり知らない間に携帯番号知られて呼び出されたりして困惑してた。それがいつの間にか…待ってる自分がいた。
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