『堕落スパイダー』のsaiさまより、私の鼻血萌えに賛同して頂き、書いてもらっちゃいました!!ちょ、これ、夢!?はぁはぁ!!私が鼻血出ます!!では、素敵な銀土をお楽しみください


     「夏の女王様」


花見にカブト狩り、果ては海水浴まで丸被りと来た日にゃあ、そりゃあもう盛大に嫌な顔つきあわさざるをえなくなったって仕方ない。
ていうか何?真選組ってやつァ男道場かなんか開いてんのか?
女っ気もないムサイ男が揃いも揃って裸のお付き合いin夏の海?
あーなんだそれ、さいっこうに哀れで逆に笑えるね!なぁんて悪態ついたら、真選組のイチャモン特攻隊長土方が気持ち悪いセンス皆無のマヨシャツ靡かせながら突っかかってきやがった。相変わらずやっすい餌に釣られる男だ。ハイ毎度ありィ。


「てめぇらこそ俺らのいくとこいくとこ現れやがって!ストーカーかコノヤロウ!逮捕すっぞ!」

「馬鹿言うなよ、ストーカーはてめぇんとこの局長だろ?ゴリラは檻に入れて山に帰しな」

「はっ、残念だったなぁ!ゴリラは日本にゃ生息してねぇんだよ!帰すなら動物園だ!」

「…副長、局長が入水自殺しようとしてます」


山でも動物園でもなく海に帰っていこうとする近藤に小競り合いは一旦中断となって、そのまま崩れるように海水浴場にヤクザみてぇな警察と神楽や新八が散らばった。
むさいばかりで暑苦しい男どもはうっとおしいことこの上ないが、仮にも役人、金は持っている。
スイカもバーベキューも持たずに純粋に海だけを目的にやってきた俺らがおこぼれ目当てに飼い慣らされちまうのは…まぁ仕方ないことだと許してくれよ。
スイカを丸々一玉を沖田と早食いしている神楽の声が聞こえた。少し離れたビーチパラソルの下で歓声を聞きながら、今から行ってもスイカにありつけなさそうだと赤く甘い果実に未練の眼差しを向けた視界に綺麗に切り分けられたスイカが差し出され、俺は眩しい太陽の光に瞳を細めながらそいつを見上げた。


「おら」


どういう風の吹き回しか、つきだすようにスイカを差し出したのは土方だった。いつもは鬼のような男が、この瞬間だけは天使に見える。差し出したスイカを受け取ろうと手を伸ばす。きっと俺の目は爛々と輝き、涎がみっともなく垂れていることだろう。だがそんなこと構ってられるか。俺の頭の中には、目の前にはスイカしかない。
オーイエーマイスイートエンジェル。待ってろ今、その麗しい体にかぶりついてやっからな!


「なーんてな」


その指があとちょっとで届く、という距離で、エンジェルもとい、スイカは急に距離を取る。
何だよ!くれるんじゃねぇのかよ!思わずあげた反論に土方は笑った。なにが天使だなにがエンジェルだ。やっぱりこいつはただの鬼じゃねぇか。


「誰がただでやるっつったよ」


片手に持ったサロンオイルを投げつけた土方はパラソルの下に敷かれたビニールに腰掛け、俺から離れた自分の脇にスイカを置いてごろりと寝転がり、背中をさらした。
そして横目に俺を見て、誘うみたいに微笑みやがったのだ。


「こいつがほしけりゃ働け、愚民め」


なんなの、なんなの、こいつ。何で今日はこんなに積極的なの。
俺に命令するのが楽しい、みたいに上機嫌でちょっと女王様気取ってさ。オイル塗れってそれは俺の理性を試してんのかな!


「…オイルっておまえ…女じゃあるまいし」

「うっせぇな。俺ァ日焼けしたら赤くなんだよ。あの火傷みてぇにイテェのは勘弁だ。やんねぇならスイカくっちまうぞ」

「いやいや、やらせていただきますけどね」

「変なことしたらブッコロス」

「きゃー!こわぁい!このおにィ!」


軽口叩いてみたところで俺の理性は早くも半壊。
キャップをとって掌にオイルを垂らすとなんだかそれがあん時のローションみたいで、昼間だと言うことを忘れて興奮した。
受け止めきれなくなったオイルが滴り、土方の背に落ちる。俺ほど白くはないが綺麗な背筋にそって流れるオイルを広げるように伸ばすと触れたところが微かに筋肉を張るのがわかった。
脇腹を掠める、指に吐息。
尾てい骨から下に視線が這い、土方の海水パンツの裾辺り。両脇にかかる黒い紐をみた瞬間。
暑さと理性が振り切れて、俺は手を止めてしまった。

ぼたぼたぼた、


大量に背中にぶちまけられた液体に土方が「おい、かけすぎだ」と言って振り向こうとしたから俺は慌ててタオルをヤツの頭に被せ、その視界を遮った。


「わ、わりぃ悪ィ、拭くから待って」

「真面目にやれや。スイカ食いてぇんだろ?」

(いや、お前を食っちまいたいよ!しかし紐はいかん!紐はいかんだろ土方君!)


土方の背に大量に落ちた鼻血をタオルで拭いながら、再びオイルに手を伸ばそうとしたら土方がタオルの下で「おせぇな、グズ」と辛辣な言葉を吐いてくださりやがったので俺は真面目に、土方の背にオイルを塗って、『銀時大好きだマヨ』と日焼け痕が残るよう細工を施すことに集中したのだった。

夕焼けの海をバックに(刀を手に)迫ってくるであろう土方の姿が頭に浮かんだから、俺は返す言葉を考えた。罵声を浴びせながら追いかけてくる土方を振り返って、俺は言うんだ。


「お前に殺されるなら本望だ!」



腹上死で、よろしくお願いします!ってな。

にやり微笑んだ俺の掌の下で、土方がびくりと体を揺らした。



「…夏はいいねぇ。殺し甲斐のある馬鹿を量産してくれるってんで、楽しくてしかたねぇや」


真夏の空、パラソルの下。
俺たちはまだ、沖田のバズーカの標的になってることに、気づいていない。

あぁ、なんて間抜けで幸せな、渚のバケーション!









おわり!


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