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□筆記中
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「私は必ず帰ってくる。待っていてくれ、##NAME1##…」





































その夜、ハリーは休暇でダーズリー家に帰っていた。だがその際、バーノン・ダーズリーの妹マージがハリーの両親の悪口を言った為にハリーはマージを風船のような体にして空高くへ飛ばしてしまったのだ。怒り心頭なハリーはそのまま荷物を持ってダーズリー家を飛び出してしまった。行く宛もなく、ハリーは夜の公園の前で座り込んだ。

「……」

ホグワーツでは未成年者は学校の外で魔法を使ってはいけない。ばれたら退学だろうか…ハリーはそんなことを考えていた時。




ガサッ









「!」

物音と気配がした。ハリーが顔を上げると暗闇の茂みの中に二つの灰色の瞳が見えた。…それは巨大な獣の姿に見え、ハリーは驚いて後ずさりした。

(あれは…)

魔法界のものか、それとも野良犬なのか…だがハリーはどこかでその目を見たような気がした。




















「こんな遅くに何をしてるの?」
「えっ?あ…」

いきなり声をかけられ、ハリーは驚いた。真夜中の闇に映える真っ白なプラチナブロンドの髪は腰まで伸び、緩いカールを巻いている。瞳はアイスブルーに輝き、藍色のシャツとグレーのズボンを着ているその女性はハリーを優しく見下ろしていた。

「駄目よ、あなた未成年でしょう…」
「ごめんなさい…でも、僕」

まさか魔法使いで家出したなんて言えない。返事に迷っていると女性はにこりと笑った。

「しょうがないわね。もうすぐ来るから平気よ」
「え?何が…」

その瞬間、凄まじい音がしたと思うと物凄いスピードで細長い三階建てのバスが現れた。バスから若い車掌スタン・シャンバイクが姿を見せ、ハリーと女性を見た。

「『ナイト・バス』がお迎えに来ました。迷子の魔法使い、魔女達の緊急お助けバスです。あー…ミス・##NAME2##?じゃあこの魔法使いを保護しますね」
「お願いね、スタン」

ミス・##NAME2##と呼ばれた女性はハリーの背中を押した。

「あ、あの…」

ハリーがバスから顔を反らして茂みを見た。だがもう犬の姿は消えていた。

「なにかいた?」

ミス・##NAME2##もそこを見たがなにもいない。

「…あ、いや…なんでもありません。…あ、ありがとうございますっ」
「ふふ、いいのよハリー」

バスに押込まれた










ホグワーツに向かう為の特急列車、9と4分の3番線。このところ、魔法界では殺人犯シリウス・ブラック脱獄の噂でもちきりだ。昨晩、ハリーはアーサー・ウィーズリーからシリウス・ブラックが自分を狙っていることを教えられ、心にそれを感じたままホグワーツへ向かっていた。ハリーはロン、ハーマイオニーと共に空いているコンパートメントを探していたが、どこもいっぱいだ。ただひとつ、男が上着を被って眠っている部屋があった。

「この人、誰だと思う?」

ロンが首を傾げた。

「R・J・ルーピン先生」
「どうして知ってるんだ?」
「カバンに書いてあるわ」

どうやら彼はホグワーツの新しい教師らしい。前学期、闇の魔術に対する防衛術の教師だったギルデロイ・ロックハートの真実が暴かれ、ロンの壊れた杖で忘却術が跳ね返ったことで彼自身魔法使いだったことを忘れてしまい、現在は病院で療養中だとか。その後任がこのルーピンであるらしい。

「ま、この人がちゃんと教えられるならいいけどね」



 

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