短編5

□雨
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『あっ…雨が降ってる…』


情事後軽くシーツを羽織ったユノ君がカーテンの隙間を覗いて何故か幸せそうに微笑んだ


『ユノ君って雨好きだったっけ?』


昔「雨の日なんか嫌いだぁ〜」ってリビングの窓の外で項垂れていた時の事を思い出した


『ん〜昔は嫌いだったけど…今は大好きかなぁ〜』


『何で?』


俺はベッドから下りてユノ君を後ろから抱き締めた


『さぁ何でだろうな?ユチョンには秘密』


『何それっ!!』


ユノ君に回した腕にユノ君の手が重なり


『ユチョン…もう一回シよ?』


そう言うと羽織っていたシーツがパサリと床に落ちた


『大丈夫?』


『大丈夫じゃないけど…今凄くユチョンとシたい』


俺はユノ君の言葉に首筋に唇を這わせた


************

『ユチョン…す…好き』

お酒で少し紅くなった顔


『ユノ君?俺もユノ君の事好きだよ』


この言葉に嘘はない


ずっとずっと好きだったんだから


『本当に?』


首を傾ける姿なんか凄く可愛い♪


そう思った瞬間ユノ君の顔が近づいてきて唇と唇が重なった



あっ…ユノ君の唇柔らかい


そう思った瞬間俺の息子がドクンと音を立てて起き上がってきた


今押し倒したいけど…

もうすぐしたらユノ君の保護者(ジェジュン)と過保護マンネ(チャンミン)とユノ君の事になると黒羊になる奴(ジュンス)が帰ってくる


これ以上は危険だ!!


やっと長年の思いが通じたんだ…俺だってまだ生きていたい!!


俺は思わずユノ君の身体を引き離した



『…ごめん』


『えっ?』


『ユチョンの好きはこういう好きじゃないんだよな?』


『ちょっ、違っ』


『気持ち悪い事してごめん…頭冷やしてくる』


『ユノ君!!』


ひき止めようとした俺の手をすり抜けてユノ君は宿舎を飛び出した


ユノ君って…


最後までちゃんと人の話聞かない人だっけ?


立ち上がろうとした足に当たった床に散らばったビールの空き缶


『…いつの間にこんなに飲んだんだ?』


ユノ君が飲める許容範囲を有に超えたビールの空き缶


大変!!あんなユノ君を外に出したら!!



俺はユノ君を追うように宿舎を飛び出した





ユノ君の行く場所はなんとなく分かってる


何かある度にそこに1人で行き涙を流してる


ユノ君は知られていないと思ってるけど…


メンバー全員が知ってる


だけど、きっと知られたくないんだろうな…


と誰もその事を口にしない






『やっぱり…』


俺はその秘密の場所に一歩踏み出した


ポツ…


ポツ…


小さな雨粒が地面を濡らし始めた


『ユノ君…帰ろう?』


この場所に現れた俺を驚いた顔で見上げる


が…


また地面とにらめっこ


『ユノ君…濡れちゃうよ?』


『…』


頑として動かないユノ君の座ってる横に俺も腰を下ろした


『ねぇ…ユノ君ちゃんと人の話は最後まで聞かないと』


『聞きたくないっ』


(拗ねてる…きっと遠回りな言い方しても今のユノ君…いやストレートに言わないとこの人絶対分かんないんだろうなぁ…)


『俺もユノ君の事好きだよ』


『嘘だ…だって』


『(嘘って…)』


少しずつ雨脚が強くなる


『俺だってユノ君とキスしたりセックスしたりしたいってずっと思ってたよ』


『…ユチョン…ありがとう…もういいよ…俺諦めるから』


はぁ?勘違い120%やろうだな!!


『もういい!!身体で解らせてあげる!!!』



ユノ君との初めてのセックスは雨の降る外だった


*******************


『そう言えば…雨と言えば初めての時雨降ってたよね?』


まだ浅い息を吐き続けているユノ君を腕に抱きながら髪にキスを落とした


『あの後ユノ君熱出ちゃって…ジェジュニヒョン達に殺されそうになったんだよなぁ』



『でも…あの日から』


雨の日が好きになったんだよ



眠たいのか小さくなっていく声でそう言って寝息をたて始めた



『どうしよう…』


そんな嬉しい事を言われたら俺眠れそうにないよ……


それでも俺は再び強くユノ君を腕に抱きしめて雨の音を聞きながら目を閉じた


END

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