パラレル

□第四話 理由
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部屋はベット二つとその傍に机が一つずつイスもセットになっていた

そして最低限の明かりなのだろう、ランプも置いてあった

ベットは木枠でできていて簡単に壊れてしまいそうだった

皆がいなくなってから、着ている上着を脱ぐ



かなり汚れていて叩くと砂埃がまった

沢山のポケットの中にはいろいろなものが入っていた


コンパス

簡易ナイフ

携帯食料

バンダナ

全て閉まってベットのそばにある机に置く


自信でも驚くほどにこの世界には動揺していない

むしろレインを守らなければという気持ちのほうが強い


次に腰についているポーチも外す

こちらの方にはだびに必要なものが沢山入っているので枕もとにおいておいた


そして



「……」



腰にある長剣に目を向ける


以前拾ったもの…使い物にならないと言われ

新しくブライトに購入してもらった…

朱色で塗られており丁度いい握り具合

女の子が持つ、といったところサービスとして鈴をつけてくれた

紐を緩めて腰から貫くと鈴が鳴った


ベットに倒れこみ、長剣は持ったまま眠った



何故だろう


私は


こんなに疲れているのに


この世界にいたいと思っている




「……」



天井を見る


最近ゆっくりと眠ったことはなかった


道中、野宿する際に見張りがいなければ危なかったから

一人眠ることが出来ても三時間ほどだ



「……っ」



頭が痛くなってきたので、シェイドにもらった薬を口に含み飲み込む


急いでポーチから水をだし飲み干した



「……はぁ」






楽しんでるかな?








**



「…イン」


「……」


「レイン!」


「ほぁっ」



声のした方を振り向くとブライトがオレンジ色の実を持ってレインを呼んでいるところだった


そこはにぎやかな出店の外れにある果物屋で色とりどりの果物が手ごろな値段で売られていた


「大丈夫?レインも具合が悪いんじゃないのかい?」


「いいえっそんなっ大丈夫です…ブライト様なんのお話でしたっけ?」


「…これファインが食べるかな?って」



「あっいいんじゃないですか?ブライト様さすがです」



「レイン…その」


「はいっ」



「ブライト様って止めてくれないかな?」


ブライトは遠慮がちな表情でレインへと言葉を掛ける



「ファインみたいに呼び捨てでいいよ…ね?」


「……え」



ブライトは持っていたオレンジ色の実の代金をお店の人に払いレインに向き直る



「駄目かな?」


「…でもっあのっ…私…」



ブライトは少し悲しそうな表情をして、ごめん責めているわけじゃないんだよ

そう

付け足した



「…謝らないでください…私」


「…うん?」


「自分が…嫌になります」



レインはゆっくりと両手で顔を覆い始める


そして、その場で言葉をつむぎ始めた




「私…自分が嫌いです」


「……」



「私…どうしてっ」




ブライトは目を見開き、レインの手の片手を顔から離し

その手を握った

少し歩いたところにある川原に行こう、そう言って


レインとゆっくりと歩み始めた





**
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