パラレル
□第四話 理由
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シェイドはネックレスを手にとって眺めていた
店の主人に買うのかと聞かれ、値段を聞いてすこし考えてから購入した
綺麗な赤い宝石、小指ほどの大きさしかないが綺麗に装飾されていた
こんなものを買うのは久しぶりだな…
そう思い、レインのことはまかせ宿へと足を戻した
***
「…?」
唐突に眠っていたファインが目を覚ました
そのまま体を起こし扉に目を向ける
コンッコンッと扉を叩く音が二回響いた
--もう買い物が終わったのかな?
もう一度、今度は先ほどより強い力で扉が叩かれる
--違う…っレインたちじゃない
ファインは長剣を握り締める
重たいからだをベットから起こし扉に目をやった
扉を叩く力はどんどん強くなり、今まさに扉を破壊して無理やり押し入ろうとしている
「…随分失礼な人たちだな…」
ファインはポーチを腰につけ、コートに手を伸ばした刹那
バリッと大きな音ともに扉が破壊された
「!!」
ファインはコートから素早く手を引き、数歩後ずさり長剣を抜いた
「なっ」
そして目の前にいる敵に絶句した
そこにいるのは、軍人
皆同じ鉄の仮面をつけている、そして刀と盾を手に持ち他は白い布と鎧で完全防御されていた
「なんなのっ貴方達っ」
--人数は六人?でももしかしたら外にいるかもしれない…
外にいる人は巻き込みたくないけど、でも今つかまったら皆に迷惑かけるし
「連れて行け」
兵士の中の誰かが突然言った
それと同時に三人の兵士が向かってくる
ファインは素早く地面を蹴り長剣を構えた
「はぁっ!」
すぐさま目の前の一人の剣を弾き飛ばし、二人目の剣に手を伸ばした刹那
「え?」
立ちくらみに襲われた
--しまった熱が?
「今だ!」
また誰かが指示を出す、それと同時に一人の兵士が振り上げた手が顔に当たった
「っう!」
いつもならなんともないのだが熱のあるせいかその場に倒れこむ
地面に叩きつけられ、痛みが体を貫く
「早く連れて行け、仲間が戻ってくるかもしれない」
--だめだ
つかまったら
レインも
シェイドも…ブライトも巻き込む
「…うっ」
兵士の一人がファインの腕を掴んだ刹那
「触らないでっ」
ファインは腕を振りはらい、もう一度刀を構える
兵士は数歩下がったがまた攻撃を仕掛けようと構え始める
--この人数に勝てる気はしない
ましてや今の体調じゃ…
シェイドッ……
一人の兵士が掴みかかってきた
「くっ」
それを全力でよけ、ベットの毛布に手をかけひっばる
「「「!!!」」」
兵士が反応したのと同時にその布を兵士に掛ける
一瞬だが視界を裏切った隙に窓に向き直った
窓は壁にそのまま溶接してあるので外せない、それは泊まったときに分かってる
ファインはそのまま躊躇わずに窓に向かって全力で走って
「やあああああっ」
そして体ごと外に飛び出した
ガラスが雪のように粉々に砕け大きな音を立てる
同士にファインにもいくつかに擦り傷を作った
ファインは自身の体を庇いつつ地面に着地する
「あっくっ」
地面への着地とガラスの傷で一瞬意識が朦朧とする
「女の子が落ちてきたぞ!?」
「大丈夫か、誰か医者を「呼ばないっで」
ファインは心配する人を制止しその場を全力で駆け抜ける
何人もの人がファインを見ていた葉無視して一心不乱に走った
--逃げなきゃっ
逃げて
はやく 皆
に
そう思い無意識に道を曲がった刹那
「え?」
目の前に先ほどと同じ格好の兵士が出てきて、ファンに手刀を落とした
「あっ」
ファインはそのまま意識を失う
駄目だ
駄目だ
と思いつつ
「…みん・・・な」
兵士はファインを方に抱え、路地へ入る
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