パラレル

□第四話 理由
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--この人達は誰だろう?


--何故私を?

--国の人間が…私たちを狙ってる?




「本部に連絡を、少女を捕まえました、いえ…一人です」



--一人…レインも狙い?



「…っ…」



だめだ、体が動かない


頭がくらくらする



「彼女を放せ」


「…あ?」


少年が立っていた、路地の真ん中で長剣を抜いている



「彼女を放せといっている」



--シェイド…?



「殺せ」



「…ぃや…駄目」



何人かの兵士がシェイドに向かっていく


少人数ならいいでも…



「くっファイン!」


シェイドの声がする、動かなきゃ…

でも



「安心しろ、今「にげ…て」


ゆっくりと意識が戻ってきた

ファインは僅かに体を動かし、太もも部分に手を伸ばし木製の棒を取り出す


側面にあるスイッチを押すと鋭利な刃が飛び出す



「私を放せ」


自身を抱えている兵士の首元に長剣を当てる


少し動揺し、ファインの目を見る

否、仮面越しで視線は見えない


「早くはな「うっ」


仮面の男がファインを抱える手を緩めかけた刹那、短い声が聞こえた



「え…?」


視線を先に向けると、シェイドが肩から鮮血を流していた

右肩を庇いながら、兵士を倒していく

「っシェイドっはなっはなせえええ」


シェイドは壁に体を付け肩で息をしている

何人かの兵士が、また飛び掛り始めた


「…っごめん…なさい」



ファインは謝りながら、自身を抱えていた兵士を切りつけた

僅かに手をかすめ、ほんの少しの血が流れる

崩れ落ちながら地面に着地しそのままシェイドの方へ向かう



「シェイドッ」



数人の兵士を切りつけ、シェイドノ傍へよる




「…ファインすまな…ファイン?」



ファインは震えていた短剣の血を見て震えている



「ファイン?」



「だっ大丈夫…だい」


シェイドがファインの両肩を抱いたと同時に聞きなれた声が聞こえる



「ファインッシェイド!」


「ブライト!」


ブライトは刀で地面に素早く魔法人のようなものを書いた

日本語ではない、よく分からない記号の羅列だ


「我ここに誓う、ブライトの名より命ずる」


刹那、突然ファインとシェイドの前に防護壁のようなものが現れた



「防御展開」


その壁に兵士の攻撃が次々と弾かれていく



「何…これ」

「ブライト…おまえ…魔法が」



ブライトは二人に微笑みかけると、そのまま兵士たちを睨みつける



「誰の命令だ」


「「「…っブライト様」」」



「え?」



「誰の命令で動いたんだ、僕はこんな命令…出していない」



--どういう事?

 命令…って…ブライトはこの兵士達と知り合いなの…?



「もっ申し訳ありません…ですが、突然行方をくらました上、このようなものたちと」


兵士の幹部らしきものがブライトの前にひざまずく


他の兵士も同様だ



「だからといって、無関係かもしれない人を巻き込むのかい?

僕は君たちにそんなことをしろとは言っていないよ」


ブライトが珍しく棘のある口調で喋っている



「…ここで話しても埒が明かないな、ファイン・シェイド…ケガは?」


ブライトは小さく剣で何か呪文を書きながら聞いた

それは解除魔法のようで、私たちの周りから防護壁が消える



「ブライト、おまえは…やはり」


「さすがシェイド…気づいていたんだね?」



「当たり前だ、宝石の国の王子…似ていると思ったが」




--王子…?



「話は宿に戻ってからでいいかな?…君の腕の治療もしないと」



「あぁ」





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