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□永久に
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*永久に*
「お母様!お母様!」
小さな子どもの足音が、場内へと響く
その音に反応して、一人の女性が振り返る
「まぁ、どうしたのホープ」
赤い長い髪を持ったドレスの女性は走りよってくる子どもを抱きしめた
少年は紫色の髪を母親の顔へうずめると、すぐに赤い瞳で母親を見た
「もしかして、父様に負けたの?」
囁くような問いかけに、ホープはビクリと肩を震わせる
「あいつ、ひどいんだ。手加減しない」
「まぁ、父様をあいつなんて呼んじゃいけないわ」
「だって……」
「ホープ」
低い男性の声にホープはキッと振り向く
ホープと同じく、紫の髪の青年が立っていた
ただ、瞳の色は蒼い
「まったく、いなくなったかと思えば」
「シェイド、本気でホープの稽古つけてるのね」
クスクスと笑う女性に、男性は近づきながら髪を撫でる
「本気でやらなければ、意味ないだろう?ファイン」
ニヤリと笑いながら、シェイドはファインの髪から手を離す
「ホープ、稽古に戻るぞ」
「……っ」
ホープは母親のスカートをしっかり掴むと、シェイドを睨みつける
「ホープ?」
「お母様も来て」
「何だ、お母様がいないと、稽古できないのか?]
「違う!お母様にお前を打ち負かすとこ見てもらうんだ!」
シェイドは少し目を見開くと、そのままクスクスと笑い出す
「わっ笑うな!」
「じゃあ見せてもらおうじゃないか?お母様にホープの勝つところを」
「望むところだ!」
ファインも笑いながらゆっくりと立ち上がる
「じゃあ、母様はホープを応援するわね」
「わーい!」
「なんだよ、それ」
シェイドはむっとしながらも、ファインの手を取った
「あら、大人気ないのね。そんなことで拗ねるなんて」
拗ねてなんていない、とシェイドはいいながらゆっくりと歩き出す
もちろん、ホープはこの後シェイドに乾杯し
ファインに抱きついた後、お前なんて大嫌いだということになる。
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