私たちは今、十年後の並森にいる。
I'm only looking
この時代を治めているのはミルフィオーレファミリー。嘗て栄華を誇ったボンゴレは壊滅的な被害を受け、ここ並森もいつ戦場となるかわからない状態だ。
・・・でも、明日。綱吉率いるボンゴレ十代目ファミリーがミルフィオーレの日本支部へ突入作戦を実行するらしい。
なんでも「入江正一」って人が過去に戻るための情報を知ってるかもしれないんだって。
そしてその突入作戦を成功させるため、綱吉達は各々の家庭教師の指導の下厳しい特訓を重ねている。
最後の特訓を終え、綱吉が戻ってきた。あちこち擦りむいている。
私は最近すっかり習慣化した傷の手当てのため、用意しておいた救急箱を開けた。血の滲んでいる傷口に消毒液を染み込ませたガーゼをあてる。
「―っ、」
「ご、ごめん。沁みる?」
「いや、大丈夫だよ」
そう言って綱吉は笑った。その笑顔が心配になる。
綱吉はいつだって笑うんだ。辛くても、悲しくても、周りの人間を傷つけないように。すごく優しくて・・・残酷だ。
ぽた、
「・・・?」
「・・・」
「ど、どうしたの!?」
綱吉ってば慌ててる。・・・それもそうだよね。目の前で行き成り泣かれたら。
「何でもな・・・」
何でもない、そう言って涙を拭おうとしたら、引き寄せられた。頭の後ろに手が回されて自然と綱吉の胸にもたれる。
「ごめん、」
「・・・なんで綱吉が謝るの?」
「心配ばっかかけてるなって」
「いいの。私には戦える力が無いから・・・だから、せめて私の前では無理して笑わないで」
貴方の力になりたいの。
そういうと君は、困ったように笑った。
私は見てるだけ
(今は見守ることしか出来ないけれど、)(いつか、必ず・・・)
UP:20100508