テイルズBL小説
□距離
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僕は幼馴染みに恋をしている。
小さい頃から隣にいて。
一緒に笑った、一緒に泣いた。
喧嘩もしたし、その分絆は深くなって行ったと思っている。
だから…余計にショックだったんだ。
「…んっ…」
月明かりの中重なる影。
微かに聞こえる幼馴染みの甘い声。
「ん…ふぁ…」
ココに来てそれほど長く一緒に居た訳じゃないアイツと…
幼馴染みのアイツが口付けをしている。
「はぁ…ァ…シュ…」
こんな…
「…足りないのか?」
こんな場面…
「…ぅん…」
見 た く な か っ た
「なぁキール、依頼ついて来てくれねぇ?」
「僕は今忙しい」
「またレポートか?たまには外でリフレッシュした方が良いぜ?」
「…大きなお世話だ」
「身体壊すぞ?」
「リッドには関係ないだろ…」
「…何だよその言い方?」
「俺はお前の身体を心配して言ってんだよ!」
ウルサイ…
「それを"関係ない"?ふざけるなよ?!」
ウルサイ…
「お前はもっと自分の身体を気にしろよ!」
ウルサイ…
「聞いてんのかッ?!」
「ウルサイッッ!!」
「――ッ!」
もう嫌だった。
「僕の身体を心配してる?ふざけてるのはお前の方だろ?」
消えてくれ。
「お前が…」
コレ以上…
「お前が僕を苦しめているんだよ」
僕を追い詰めないでくれ。
リッドの肩を強く押し、部屋の外へ追い出した。
「依頼なんて…アッシュと行けば良いだろ?」
目を見開くリッドを尻目に、僕は扉を閉めた。
その扉が…僕とリッドの心の距離の様に感じられ、胸を締め付ける。
頬を伝うそれに気付かぬフリをして、僕はその場にしゃがみ込んだ。
僕はただ君を愛していただけ
苦しいよ…リッド…
(泣き虫だな、キールは)
小さいリッドが僕に笑いかけた