テイルズBL小説

□守りたい人
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弱い僕は、どうしたらお前を守れるんだろうか?







昔の夢だ。
リッドとファラと僕がまだ村に居た頃の夢。


『痛っ!』

『ぁ、リッド、キールが転んだ』
『またかよ』

『ぅ…ッ…』
『キール、大丈夫?』
『それくらいで泣くなよな。』
『泣いてなぃ…っ…』
『泣き虫キール』
『リッド、そんな事言っちゃダメだよ!』『っ…ヒク…』





弱い自分が嫌いで。
リッドと比べられるのも嫌で。
何より、リッドに嫌われるのが怖かった。

リッドに負けないように、リッドと比べられないように必死で勉強した。
でも、何も変わっていない。

どうしたら僕は変われるのだろうか?
どうしたら僕はリッドを守ってあげられるだろうか?

分からない…
ワカラナイ…



『キール』

何、リッド?

『泣き虫キール』

もう泣き虫じゃない。

『…起きろよキール…』

起きる?

『キール…』

リッド?










「…」

重たい瞼を持ち上げる。
大量の光に眩しさを感じながら、目を凝らせば見知った赤が飛び込んできた。
空色の大きな瞳が濡れている。
何で…

「リッ…ド…?」
「っ…!」
「なに…泣いてるんだ…?」

潤んでいただけの瞳から、ボロボロと雫が落ちる。
誰が泣かせた?

「ぉ前が…ッ」
「…」
「お前が…俺を庇って倒れるから…ッ」

体に貼り付く物の正体は包帯だったようだ。
そういえば、今日リッド達とクエストの為にアメーバ洞窟へ行ったんだった。
モンスターの数が多くて、リッドは背後にいるモンスターの気配を感じ取るのが遅れたみたいで…。

「(体が勝手に動いたんだった…)」

僕の存在を確かめるように抱き付いてくるリッドの体温。
微かに震える手を重ね握り締める。

「二度とあんな事するなよ…」
「…それは無理だ…」
「ぇ…?」

だって…

「だって、リッドの事守ってやりたいから…」

生きている限り、僕はリッドの為に無茶をするよ。





これが僕の守り方

「泣き虫キールのクセに…」

「僕はもう泣き虫じゃない」




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