テイルズBL小説

□一日子育て体験
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重い…
何かが上に乗っているような感覚。
面倒だ…と、そのまま寝ようとも思ったが今度はソレがモソモソと動き出す。
仕方ないので目を開き、体の上に乗っているモノを確かめた。


「あぅ」


……可笑しいな…
この船に赤ん坊なんか居たか?
居なかったよな。
それじゃコレは夢だ。
うん。そうだそうだ。よし、もう一度寝よう。

「あぅ〜…」

ペチペチと小さな手が頬や鼻など、顔中を叩く。
感覚があるという事は、これは夢じゃないのか…
という事は、目の前に居る子供は本物って事で…

「夢じゃ…ない…?」
「あ〜…」

どこかで見たような気がするが、今はそれどころではない。
この赤ん坊はどうしてココに居るのかだとか、誰の子なのかとか、考える事は諸々ある。

隣のベッドに寝てるであろうギルド仲間兼恋人のユーリを見る。
しかし、そこには黒い人物はいなかった。
そう言えば、俺が寝る時も居なかったな…。
クエストか何かだろうか?

「とりあえず旦那に聞いてみるか…」

あんまり気は進まないが、他に思いつかないから仕方ない。







科学部屋。

「ジェイド居るか?」

「おやガイ、おはようございます」

「おはよう。聞きたいんだが…旦那はこれに見覚えはあるか?」

「あうぁ〜…」と言いながらクリクリの瞳を、ジェイドに向ける赤ん坊。
ジェイドは苦笑しながら、赤ん坊の頭をなでてやった。

「生憎、私に覚えはありませんよ。流石に子どもを作るシステムは開発していません…残念ながら」
「(残念ながらってなんだ?)朝俺の上に乗ってたんだ」

ジェイドじゃないとすると、この子はどこの子なんだろうか?
こんな海に浮いている船に、赤ん坊一人で入れる訳がない。

「それにしてもガイにそっくりですね、その子ども」
「俺に?」

そうか、誰かに似ていると思ったら自分に似ていたのか。
って、それってどうなんだ?

「案外本当にガイの子かもしれませんよ?」
「俺は女性恐怖症だよ」
「では、アナタが産んだのでは?」
「…俺は男だ」

もう良い。
ココに居ても何も分からない様だし、他のメンバーにも聞いて来よう。

「はぁ…他の奴にも聞いてくるよ」
「そうして下さい」

赤ん坊をしっかり抱っこしながら、科学室を後にしようとした。

「ぁ、ガイ」
「何だ?」
「ココに置いてあった薬を知りませんか?」
「?俺は知らないぜ」
「そうですか」

ジェイドの話が良く分からないまま、ガイは今度こそ部屋を後にした。





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