テイルズBL小説

□VS
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可愛いな…アイツ。



そんな邪な目で見ているのは、このギルドに一時的にだが所属しているガイ・セシル。
とにかく可愛い。
何処がと言われれば『全部』と答えたいが、強いて言うなら天然な所。
しかし、その天然で困っている事もある…。









「ガイ」

振り返り俺を見つければ、ガイは二コリと柔らかい笑みを向けてくれる。
ホントに可愛い。
男にしておくには惜しい人材だ。(まぁ、男だろうが女だろうがガイならそれで良いんだが)

「ユーリ、どうしたんだ?」
「ん?あぁ。今から街にでも出ようかと思ったんだが、一緒に行かないか?」
「街か…。最近行ってなかったし、この後依頼も入ってないから行こうかな」

俺は心の中でガッツポーズを決めた。
これで誰にも邪魔されずにガイと一日過ごせそうだ。
そう思っていた矢先…

「よ、ガイ!…それにユーリも」

「俺はついでか」

最悪だ。
一番掴まりたくなかった人物に見つかった。
そう、俺のライバル(認めたくはないが)であるゼロスだ。
ゼロスもガイを狙う一人。
しかも一番質の悪い奴だ。

「なぁガイ君、俺様とこれからお茶でもしない?」

俺を無視して話を進めていくゼロス。

「ん…悪いけど、先にユーリと街に行く約束しちゃったからな…」

聞いたかゼロス。
ガイはお前じゃなく俺を選んだんだぜ。(選んだと言うよりは約束を守ろうとしただけだけどな)

「え〜、ガイ君街出かけちゃうのかよ…」

ワザとらしく項垂れるゼロス。

「ユーリなんて放っておいて俺様と遊ぼうぜ?」

ゼロスがガイの手を取る。
しかも顔が近い。

「ゼロス…てめぇ…」
「それはダメだ。先に声かけてくれたのはユーリだし…」
「ガイ君…」

またワザとらしく項垂れる。
しかも今度は嘘泣き付きだ。

「そ…そんなに落ち込まないでくれ;」

根が優しいガイだ。
こうされれば放っておけない。
こんな優しい所に惹かれ、同時に可愛いと思っているから直させたくても直させられない。

「ゼロス、あんまりガイを困らせんなよ」
「俺様だって困らせたくて困らせてる訳じゃないんだぜ?ただ、俺様だって構って欲しい時があんだよ」

大の大人が何駄々捏ねてんだか…。

「ん〜………あ!」

ガイが何かを思いついたように声を上げた。
その大きな声に、俺とゼロスはガイを見た。
本人も自分が思っていたより声が廊下に響いてしまったようで、少し気まずそうにしている。

しかし、気を取り直そうと一度咳払をし、ガイは俺達を見て笑う。

「三人で街に行って、そこでお茶をしよう!」

「そうだ、それが良い」と自分の提案に満足したのか、ガイは上機嫌になった
そんなガイを、俺とゼロスはただただ呆れ、そして可愛いなと外れた事を思っていたのは内緒だ。








結局俺達はガイに引き摺られ、街へと繰り出し約束通りお茶を飲みのんびり過ごす羽目になった。












想いはまだ届かず


「天然を落とすのも…」

「大変だよな…」


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