テイルズBL小説

□苦しい程愛してる
1ページ/2ページ

俺には恋人が居る。


凄く美人で、


長い髪が綺麗で、


甘い物好で、


でも剣を握ればカッコ良くて、


厳しくも優しいアイツに


俺は心底惚れていたりする。










「ぁ、ユーリ」
「ガイ」

俺を確認するとユーリは俺の頭をクシャリと撫でてくれる。

「(俺の方が身長高いんだけどな…)」
「どうしたんだ?」
「ん?ぁ、あのさ…」

「ユーリ!」

俺が言葉を発しようとした時、丁度ユーリの後ろから駆け寄ってくるピンク色のチューリップ。
彼女は一枚の紙を手に、こちらへ小走りで近寄ってくる。

「そんなに急ぐと転ぶぞ?」
「大丈夫ですよ」

さっきまで俺に向けられていた瞳が、今は俺ではなく彼女へと向けられている。
チクリと胸が痛む。
でも、俺はそれを隠すように無理矢理作り笑いを浮かべる。
大丈夫、もう慣れた。
ユーリとエステルが一緒に居るなんて、ほぼ当たり前の事。
だから、一々嫉妬なんて…

「(疲れるだけだ…)」

「ガイ?」
「っ…え?」
「どうした?何か怖い顔してるぞ?」

無理矢理作った顔は、どうやら失敗していたみたいだ。

「何でもないさ。それよりお二人さん今からクエストだろ?頑張れよ」

それだけ言って立ち去る。
あの場に居たら、耐えられそうになかったから。





「…」
「ユーリ?」
「…何でもない、行くか」

















一人の部屋。
最初はルークとジェイドと同室だった。
それが自然と変わっていって、気付けば俺とユーリの部屋になっている。
ジェイドもまだ一応はこの部屋だが、科学室に籠っていてココへ来る事はない。
そんな部屋で溜め息を一つ。

本当は今日一日一緒に居たいと思いユーリに声を掛けた。
部屋でまったりしようか。
それとも街へ出かけようかなんて考えていたが、結局果たせず仕舞い。

ボフ。

自分のではなくユーリのベッドへ。
鼻を掠めるのは甘いユーリの香り。
落ち着くと同時に、寂しくなる。

「…ユーリ…」

依頼はいつ終わるのかな…?
長引くのかな…?

「早く帰って来ないかな…」


































「ただいま」

ユーリが依頼から戻れば、部屋に明りはない。

「ガイ?」

部屋に居ないのかと思ったが、自分のベッドに黒い塊が見える。
ベッドに寄り、近くのスイッチを押し明りを点ける。
するとそこには身体を丸め眠るガイの姿。
可愛い恋人に腰を下ろし顔を覗き込む。

「…」

跡はないが、薄っすら目尻が赤い。
朝会った時から何処となくガイの様子がおかしいと気付いていた。
分かっていたが、俺はガイを一人にした。

「(そう言えば、何か言い掛けてたな…)」

最後まで聞けなかった言葉。
何を言い掛けていたのだろうか?
その内容が、涙の理由と関係あるのだろうか?

「…ガイ…」

髪を撫でる。
ガイが実は頭を撫でられるのが好きな事を知っている。
たまに怒ったりするが、それでも目を細める顔が可愛い。

「ん…?」
「起きたか?」
「…ユーリ、帰ってたのか?」
「さっきな」

また髪を撫でれば、やっぱり気持ち良さそうに目を細める。

「…何かあったか?」
「え?」
「目尻、赤かったぜ?」

そう言ってやると、ガイは顔を曇らせる。

「言いづらいか?」
「…その…」

ガイの言葉を待つ。

「……ユーリにとって、やっぱりエステルは大事な存在か?」
「エステル?」
「いつも一緒に居るからさ…」

ガイが目を逸らす。

「(そう言う事か)」

ガイの様子が変だった理由が分かり、自然と笑みが零れる。

「嫉妬してたのか?」
「…否定はしない…」
「あ〜もう、ホント可愛いなお前」
「可愛いって言うな…」

頬を赤くしながら、ガイが顔を背ける。
拗ねてるその顔が凄く可愛い。

「エステルは確かに大切な仲間だが、俺が愛してるのはお前だけだよ」
「…ホントか?」
「嘘吐いてどうすんだよ」
「う〜…だって…」
「あぁ、もう!」

ガイを抱き寄せ、肩口に顔を埋める。

「俺は、お前が思ってるよりもスゲェお前の事好きだぜ?」
「…ぅん…」

耳が赤い所を見るとかなり照れているようだ。
ユーリの背中に腕が回り、縋るように服を握る。

「で、お前は言ってくれないのか?」
「ぅ…」
「ほら、恥ずかしがらずに言ってみろよ」
「…き…」
「ん?」
「っ…好きだよ!」

更に服を掴む手が強くなる。
何を今更恥ずかしがってるんだか。

「あんまり溜め込むなよ?」
「…気を付けるよ」















離れられない程君が…


「大好きだよ、ユーリ」


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ