カカシ×ナルトのお部屋
□残り香(未完)
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『オレはお前が好きだよ』
そう言ったのはアンタじゃんか。
『信じてるよ』
そう言ったのもアンタ。
『大丈夫。ずっとここにいるから』
そう言ってくれたじゃんかよ……
カカシ先生…………
残 り 香
ある日。
それはオレの耳に届いた。
「なんだってばよ?ばあちゃん」
早朝、使いの鳥でばあちゃんに呼び出されたオレは、重たい瞼を必死で持ち上げて火影室へと出向いた。
ばあちゃんはいつも眉間にシワがよってるけど、今朝に限ってはそのシワが少し深いように感じられた。
(なんか…あったのか?)
重い空気とシズネのねーちゃんの浮かない顔を見て少し悟る。
けれど、それはオレが思ってたのより重大なことだった。
「…カカシが………里抜けした」
(……………………は?)
カカシ先生が……里抜け……?
「な……なんの冗談だってばよ…」
ひくついた笑みで「嘘だよな?」と訴える。
けれどばあちゃんの顔が縦に頷くことはなかった。
「はたけカカシは……抜け忍だ」
頭を鉄かなんかて思いっきり殴られた感覚。
ものすごい衝撃がオレの頭の中でぐわんぐわんと響いた。
(先生が…抜け忍…?なんで…?)
……昨日だって一緒にいたじゃんか………!!
ガンッ…………!!!
ぱらぱらと崩れる壁。
抑えきれない感情をオレは壁にぶつけた。
そしてそのままずるずると崩れ落ちた。
「ナルト……」
「う……嘘だ……カカシ先生が……カカシ先生が里を抜けるわけがねぇ…!!」
嘘だ…
嘘だ嘘だ嘘だ………!!
『ナールト』
昨日……
昨日だってずっと一緒にいた……
いつもみたいに……笑ってて……
それなのに……なんで……
「……ナルト」
しんと静まり返った部屋に、ばあちゃんの声は嫌なくらい響き渡った。
「カカシのことは…諦めろ」