カカシ×ナルトのお部屋

□残り香(未完)
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「な……なんで……」
「アイツは………もうここの忍じゃない」

なんだよそれ……
里を抜けたらもう仲間じゃないってのかよ……?
今まで散々カカシ先生に頼ってたくせに……

「本気で言ってんのかよ…?ばあちゃん…」

ばあちゃんは何も言わなかった。
逃げるみたいに、オレから目を逸らした。

(ばあちゃんも……そんな風に思ってたんだ………)

愕然とした。
ばあちゃんまでそんな風に思ってるなんて……

「結局は……みんなそうなんだな……」

自分の敵になれば、いとも簡単に繋がりを切って、消滅して……
………ひどい………

「ひどすぎるってば…………!!」

オレの言葉にばあちゃんはただただ悲しげな表情を浮かべるだけで。
シズネのねーちゃんは……多分だけど泣いていた……





『カカシのことは…諦めろ』

家について、布団に潜っても、ばあちゃんのあの言葉は頭から離れなかった。

(…そんな簡単なもんじゃないってば…)

オレとカカシ先生は、所謂恋人同士だった。
勿論男と男だということを承知のうえで始めた交際だ。
一つも迷いなんてなかった。

ただ好きだった。

お互いがいればそれだけで幸せで。
オレはカカシ先生の気配が好きだった。
ふわふわふわふわ浮いてる雲みたいな感じ。
時折本から視線を外して、オレに微笑みかける先生が大好きだった。

特別なことをするでもなく、当たり前の空間に好きな人がいる。
それだけでよかった。

『オレはお前が好きだよ』

「………カカシ先生………」

どうして……いなくなっちゃったんだよっ……
なんで……おいてくんだよ……

オレは…カカシ先生にとって、そんな軽い存在だったのか……?

「……カカ、……」

カカシ先生の匂いが残るタオルケットを抱いて、その夜は泣くしかなかった。
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