カカシ×ナルトのお部屋
□残り香(未完)
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思いっきり泣いた。
目を擦りすぎて、瞼が切れた。
なぁ、先生。
これだけ想ってもダメってんなら……
オレはどうすればいいんだ……?
「ナルト…?おい。ナルト」
ガクガクと肩を揺さぶられ、はっとなる。
目の前には、いつもみたいに眉間にしわを寄せているシカマルが心配げにこちらを見ていた。
「…あ…わりぃっ!で、なんだったっけ?」
「あのなぁ…」
いつもみたいにがははと笑ってみるも、やはりいつもとは違うらしく、事情も知っているからかシカマルの顔は更に心配に曇っていった。
「お前、大丈夫かよ?あんまり寝てねーんだろ?流石に九尾の力でも目の下の隈は治ってないぜ」
ちょんと指先でシカマルが目の下をなぞる。
「…眠れないのか…?」
「…………ちょっとな」
朝はこうしてみんなといるから少しは平気だけど、夜は違った。
なぜカカシが里抜けをしたのかとかなんで自分を置いていったのとか…
不安や恐怖に駆り立てられて、とてもじゃないけど、眠るなんてことなんか出来そうもなかった。
「あまり無理をすると、自分に返ってくんぞ」
「……ん」
「それに、………」
何かを言いかけて、口に手を宛てるシカマル。
……何があったとかじゃない。
根拠なんてまるでない。
けれど勘と言うのか……
“シカマルは何か知っている”
全身にそう連絡が行き、ナルトはシカマルを凝視していた。
「な、なんだよ…」
「……シカマルさ」
声が震えてくる。
ただ聞いているだけなのに。
(止まれ……止まれ……!!頼むから止まってくれよ………!!)
次第に震えてきた手を押さえて、必死にそう言い聞かせた。
(ちくしょっ……止まれよ……!!)
こんな姿、みんなに見せるわけには行かない……!!
そう強く思っても、体の震えが止まることはなかった。
あまりの情けなさに涙も滲んでくる。
眩暈もしてきた。
(ヤバ、…倒れる…)
見かねたシカマルは、ナルトに向かってなにかを囁いた。
薄れゆく意識の中で聞き取れたのは…
「……………病気………」
“病気”
その一言だった。