はたけ一家のお部屋
□お父さんの好きなもの
4ページ/8ページ
街に出てみれば、夕食時のせいか買い物袋を持つ奥さんたちがいっぱいいた。
今夜はやっぱサンマかな〜なんて顔を緩めてみる。
きっとナルトのことだからオレの大好きな料理作ってくれるだろうな〜って思ったらにやけが止まらなくなった。
(ヤバいヤバい。顔引き締めなきゃ)
ピシッと真顔を作って、キョロキョロと辺りを見回す。
すると、少し冷たい風に乗って元教え子の匂いが流れてきた。
「サクラか…」
ポリポリと頬を掻く。
(サクラに聞いたってなぁ…)
あのサスケ大好きなサクラがそう簡単にサスケが不利な話をするわけがない。
寧ろオレが怒られそうだ。
(見なかったことにしよ…)
そういって踵を返したとき。
「あら?カカシ先生?」
呼び止められた。
(まずったな…)
さぁ…どうしようか。
逃げるか聞くか。
オレは状況をイメージしながら、にこりと笑顔を作った。
「珍しいですね。先生が買い物なんて。今日はナルトも休みでしょう?」
「まぁね。ちょっと散歩がてらに出ただけだよ」
「じゃあオレはこれで」と瞬身で逃げようとしたとき、サクラが「あ!」と小さく声をあげた。
「先生!これ私からの誕生日プレゼント!渡すのすっかり忘れてたわ」
サクラがオレによこしたのは、なにやら可愛らしい小包。
サクラらしい淡いピンクのリボンが結ばれている。
「ありがとう。悪いね」
「何を言ってるんですか。先生らしくない」
そう言ってサクラは笑った。
オレそんな図々しいことしてないはずなんだけどな〜…
「そういえば、サツキからのプレゼントは貰いました?」
「え?」
ぐりんとサクラに振り返る。
「先生の誕生日の1ヶ月前くらいからサツキとサスケくんが計画してて、今日やっとできたんですよ」
「まだ貰ってなかったかしら」とサクラは口を手で押さえた。
そんなサクラをほっといてオレはぐるぐる考えていた。
(サスケがサツキと?…まぁ…サスケもサツキに誑かされてるからな。どーせまたサツキのうるうるおねだりに負けたんだろ。まったくサツキは可愛いね。絶対嫁にやらない)
「…先生?どうかしました?」
考えがずれてきたところでサクラがオレを覗き込んだ。
「あー…なんでもないよ」
「そうですか?なら私は買い物があるんで失礼しますね」
サクラはサッサと行ってしまった。
貰った小包を手にオレは我が家へと飛んだ。