無重力アイラビュー
□5.ビッグバンは、突然に
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抱き締めて…しまった。
それも、朝っぱらから思いっ切り。
パソコンの前で、頭を抱え込む。
今までだって、そういう事がなかった訳じゃないけど。
いつもは軽いハグみたいな、戯れ合いみたいなものだったし…。
……あんな。
あんな、身体の全てが密着するような抱擁。
そう、抱擁だ。
抱き締めるとか、もう、そんな甘っちょろいもんじゃない。
首筋に鼻先を寄せ、彼の匂いをちゃっかり堪能して。
あの後、サトシ君に「しょう、いたい。」なんて身を捩られなければ。
捩らなければ?
俺、何しようとして「翔さん。」
「うわぁ!!」
突然、背後から声を掛けられて飛び上がった。
「お、お前、びっくりさせんなよ!!」
泡食って振り返ると、怪訝な顔した二宮がいて。
「それは、こっちの台詞。」
どんだけ、びびってんのよ。
わざとらしく、肩を竦める。
わ、悪かったな!!
こっちは疚しい事満載で、罪の意識に苛まれてたんだ!!
「…で、何の用だよ?」
平静を装って、そう尋ねれば。
ここに来た理由を思い出したかのように、あぁと小さく呟いて。
俺の耳元に、顔を寄せた。
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