無重力アイラビュー

□5.ビッグバンは、突然に
4ページ/19ページ




抱き締めて…しまった。
それも、朝っぱらから思いっ切り。




パソコンの前で、頭を抱え込む。




今までだって、そういう事がなかった訳じゃないけど。
いつもは軽いハグみたいな、戯れ合いみたいなものだったし…。




……あんな。
あんな、身体の全てが密着するような抱擁。




そう、抱擁だ。




抱き締めるとか、もう、そんな甘っちょろいもんじゃない。
首筋に鼻先を寄せ、彼の匂いをちゃっかり堪能して。
あの後、サトシ君に「しょう、いたい。」なんて身を捩られなければ。




捩らなければ?
俺、何しようとして「翔さん。」




「うわぁ!!」




突然、背後から声を掛けられて飛び上がった。




「お、お前、びっくりさせんなよ!!」




泡食って振り返ると、怪訝な顔した二宮がいて。




「それは、こっちの台詞。」




どんだけ、びびってんのよ。




わざとらしく、肩を竦める。




わ、悪かったな!!
こっちは疚しい事満載で、罪の意識に苛まれてたんだ!!




「…で、何の用だよ?」




平静を装って、そう尋ねれば。
ここに来た理由を思い出したかのように、あぁと小さく呟いて。
俺の耳元に、顔を寄せた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ