無重力アイラビュー
□5.ビッグバンは、突然に
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「なんかさー。店の雰囲気、変わったと思わない?」
赤レンガの階段を上りながら、二宮が後ろを振り返る。
「あ?…あぁ、そうかもな。」
適当な相槌を打った後、その違和感に首を傾げて。
「つーかさ。」
なんだか、納得出来ない状況が発生しているように思えるんですが?
「だよね。blue moonより、暖かい感じ「なんで俺が、お前の荷物まで持ってんだ!!」
そう、そこだよ。
あんまり、ナチュラルに手渡されたもんだから。
何の疑問も持たずに、ここまで運んで来てしまったけど。
どう考えても、おかしいだろ!!
「だって、重いじゃん。」
憤慨する俺に向かって、悪びれる様子もなく宣う二宮さん。
ええ、ええ。
あなたの仰る通りでございますよ。
現に、俺の指は今にも千切れそうって…コラァァー!!
「お、重いじゃん、じゃね「ほら、もう着いたよ。」
翔さん、良かったねー。
びっくりするくらい棒読みでそう言い放つと、クルリと踵を返し。
「潤君、お疲れ〜。」
一人さっさと、店内へと消えてく。
うぉい!!
俺の話を、聞け!!
「に、二宮…。」
ヘロヘロになりながら、ガラスの扉を押し開ければ。
「…よぉ。」
パーティーの後片付けをしていたらしい松本が、ゆっくりと顔を上げた。
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