無重力アイラビュー

□5.ビッグバンは、突然に
6ページ/19ページ




「なんかさー。店の雰囲気、変わったと思わない?」




赤レンガの階段を上りながら、二宮が後ろを振り返る。




「あ?…あぁ、そうかもな。」




適当な相槌を打った後、その違和感に首を傾げて。




「つーかさ。」




なんだか、納得出来ない状況が発生しているように思えるんですが?




「だよね。blue moonより、暖かい感じ「なんで俺が、お前の荷物まで持ってんだ!!」




そう、そこだよ。




あんまり、ナチュラルに手渡されたもんだから。
何の疑問も持たずに、ここまで運んで来てしまったけど。




どう考えても、おかしいだろ!!




「だって、重いじゃん。」




憤慨する俺に向かって、悪びれる様子もなく宣う二宮さん。



ええ、ええ。
あなたの仰る通りでございますよ。
現に、俺の指は今にも千切れそうって…コラァァー!!




「お、重いじゃん、じゃね「ほら、もう着いたよ。」




翔さん、良かったねー。




びっくりするくらい棒読みでそう言い放つと、クルリと踵を返し。




「潤君、お疲れ〜。」




一人さっさと、店内へと消えてく。




うぉい!!
俺の話を、聞け!!




「に、二宮…。」




ヘロヘロになりながら、ガラスの扉を押し開ければ。




「…よぉ。」




パーティーの後片付けをしていたらしい松本が、ゆっくりと顔を上げた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ