無重力アイラビュー

□5.ビッグバンは、突然に
7ページ/19ページ




「…じゃあ、改めて松本の新店舗開店を祝して。」




カンパーイと、各自グラスを掲げる。
隣では、店の裏で俺の帰りを心待ちにしていたらしいサトシ君が。




「…かんぱーい?」



見様見真似で、ココアの入ったコップを持ち上げていた。




…ヤ、ヤベー。
今、キュンとした。
俺、キュンとしちゃったよ!!




朝の抱擁事件から、どうも思考が怪しい方向に向かって行ってるような気がして。




今日は、あんまり彼の事見ない方が良いかもな…。




それが、今の自分に出来る精一杯の方法かもしれないなんて。
ワイングラスに、口をつければ。




「…翔君。」




向かいに座る松本に、名前を呼ばれた。



「え?…あ、何?」



「このワイン、相当美味い。」




サンキュな。




白い歯を覗かせたかと思うと、上機嫌で礼を言われて。




「いや、喜んで貰えたな「ちょっと、潤君!!何、翔さんにだけお礼言ってんのよ〜。俺なんて、ゲーム一式持って来たんだけど?」




メチャクチャ、重かったんだからね。




口尖らせて、皿に盛られたソーセージにフォークを突き刺す。




そうそう、メチャクチャ重かったよなーって…?
お前、運んでないだろうが!!
運搬者、俺!!
指千切れそうになったのも、俺!!





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ