無重力アイラビュー
□5.ビッグバンは、突然に
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「…じゃあ、改めて松本の新店舗開店を祝して。」
カンパーイと、各自グラスを掲げる。
隣では、店の裏で俺の帰りを心待ちにしていたらしいサトシ君が。
「…かんぱーい?」
見様見真似で、ココアの入ったコップを持ち上げていた。
…ヤ、ヤベー。
今、キュンとした。
俺、キュンとしちゃったよ!!
朝の抱擁事件から、どうも思考が怪しい方向に向かって行ってるような気がして。
今日は、あんまり彼の事見ない方が良いかもな…。
それが、今の自分に出来る精一杯の方法かもしれないなんて。
ワイングラスに、口をつければ。
「…翔君。」
向かいに座る松本に、名前を呼ばれた。
「え?…あ、何?」
「このワイン、相当美味い。」
サンキュな。
白い歯を覗かせたかと思うと、上機嫌で礼を言われて。
「いや、喜んで貰えたな「ちょっと、潤君!!何、翔さんにだけお礼言ってんのよ〜。俺なんて、ゲーム一式持って来たんだけど?」
メチャクチャ、重かったんだからね。
口尖らせて、皿に盛られたソーセージにフォークを突き刺す。
そうそう、メチャクチャ重かったよなーって…?
お前、運んでないだろうが!!
運搬者、俺!!
指千切れそうになったのも、俺!!
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