無重力アイラビュー
□5.ビッグバンは、突然に
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猛抗議してやろうと、立ち上がり掛ければ。
「…あぁ、カズもサンキュ。スゲー、喜んでるよ。」
サトシ君が。
クスクス笑う松本の台詞に、ストンと身体の力が抜ける。
そうなのだ。
さっきから、大事そうに釣りのゲームソフトを抱え込んじゃってる彼。
自分の持ってる物が何なのか、理解してる筈もないのに。
二宮の“釣り”の一言で、この状態だ。
お、恐れてた事が現実になっちまったじゃねぇか。
サトシ君をゲームに奪われる日を想像したら、一瞬意識が遠退いた。
「まぁね。…確かに、サトシ君を喜ばせようとは思ったよ?そこは、否定しない。でも、俺は潤君にも喜んで「バーカ!!喜んでるっつーの。大体、俺の性格知ってんだろ?」
素直は、長く続かねぇんだよ。
そう、ぶっきらぼうに呟いたかと思うと。
つまみ作ってくる、なんて逃げるように席を立つ。
「…潤君(松本)、可愛いー。」
見事に、ハモる俺と二宮。
「はは。アイツ、ああいう所変わんね「浮気者。」
へ?
今、なんて?
吐き捨てられた言葉に、我が耳を疑う。
「浮気者って、言ったの。サトシ君の事好きとか言っておきながら、何他の人誉めてんの?」
翔さん、最低。
冷めた視線が、思い切り突き刺さる。
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