無重力アイラビュー
□6.フィッシング・パニック
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「…だからぁ。俺、別に責めてねぇじゃん。」
白いカップに琥珀色のスープを注ぎながらも、さっきから笑いが止まらない様子の松本。
「……。」
「まぁ、翔君にしては随分思い切った行動取ったなって思ったけど。」
好きだったら、そういう事もあるんじゃねぇの?
不貞腐れ気味に見上げたカウンターの中、ぶつかった視線は思いの外優しいものだった。
「…そうだよな。」
だって、本当にあの一瞬何も考えられなくなっちまってさ。
気付いたら、夢中でキスし「おし!!夕飯、出来たぞー!!」
大きな掛け声と共に、テーブルに置かれた(サトシ君の)今夜のメニュー。
……。
「ほら、サトシ君の大好きな魚の形になってんだろ?」
「さかな〜。」
両手を上げ、喜ぶサトシ君。
その松本の言葉通り、プレートの右端に位置されたチキンライスは見事なまでに魚のフォルムを表現してて。
「お、俺の…話し、聞けよ〜。」
二人きりで、盛り上がってんじゃねぇ!!
「あー、もう!!面倒臭ぇな。」
そう言って、カウンターから出て来た特大オムライスには。
「は、旗…?」
「スゲー嬉しいだろ?」
子供の喜びそうな“それ”が、突き刺さってた。
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