蒼天の使者

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 木の葉の里では、基本的には男女の交友はされていない。



 禁止、ではないのだが任務に支障がでると個々の判断でしていない。



 しかし、恋人となるのはよくあり、任務で結ばれた事も多い。



 それぞれが、任務に支障が出ないようにと健全的な交際をしている。



 しかし、その天女様は自ら男陣の元に行ったそうだ。



 それが、くの一の方々の怒りを買うのも当然の事かもしれないと、オレは街を闊歩していた。



 頭上の空は快晴。燦々と照り注ぐ太陽の光を受け、多くの植物達が光合成を行っている。



 時折渡る風が木々を揺れ動かす。



 鳥も、己の翼を大きく、そして優雅に広げ大空を泳ぐ。



 まさに日向ぼっこ日和。



 徒然なる侭に、オレは街を徘徊する。



 一見しただけではいつもの木の葉の里と何ら変わりないように思えた。




「・・・表面上だけな」




 変わったのは、忍達だった。




「あ、蒼天さんだー!!」




 何処に行くこともなく、ふらふらとぬらりくらりと歩いていたらいつの間にやら忍者学校に。



 どうやら、授業は終わったようで背後から甲高い声に名前を呼ばれる。



 誰かと思い振り返れば、まだまだ忍には程遠いがオレ達が持っていない輝きを持っている小柄な影がちょこちょこという効果音と共にこちらへ駆け寄ってきた。



 言わずとも、まだまだ忍には遠いアカデミー生たちがぞろぞろと集まってきた。。



 オレの目の前でやってくると、ぺこりと行儀良く頭を下げた。




「「「「お久しぶりです!蒼天さん!」」」」



「よぉ。久しぶりだな、お前達。相変わらず可愛いなぁー」




 そう言って、近くにいたくの一教室の子の頭を撫でれば「ふわぁ〜」なんて声を出して頬を緩めるから、オレもつられて小さく笑みを零した。



 それを見ていた他のくの一教室の子が「私も撫でてください!!」とか言ってきたからオレは来るもの拒まずって感じで軽く揉みくちゃにされる。



 どさくさに紛れて尻を触る子、離れなさい。




「カケルさん、僕にもー!!」



「はいはい。にしても、お前ら元気だなー」




 同期や上司にはない可愛さを持っている後輩を愛でていると、視界の端に一人ぽつんと佇むゴーグル少年を見つける。




「どうした、木の葉丸?こっちに来い、寂しいだろうがー。今ならハグするぞ?・・・・・・木の葉丸?」




 そう言って、いつものようにおどけた様に両手を広げて見せるが、木の葉丸はいっこうに動かなかった。



 いつもならば、誰よりもいち早く気付いて飛びついて来るのに・・・。



 木の葉丸はその場に足を縫いつけられたかのように動かず、ぎゅっと自分のズボンを強く掴んだ。



 そして、俯きがちだった視線が持ち上げられ今にも泣きそうな潤んでいる目とかち合う。




「・・・・・・」




 そこでやっとオレはただ事ではないと悟り、他の子達を纏いつけて木の葉丸に近寄った。



 しゃがんだだけじゃ視線が合わないから、下から覗き込むようにその瞳と視線を絡み合わせると、そっと木の葉丸の頭に手をやる。




「どうした?木の葉丸、またなんかしてエビスに怒られたかー?それともイルカ先生にでも叱られたかー?」



「ふっ・・・うぅ・・・ッ・・・夜霧、カさん・・・」



「・・・・・・」




 あやすようにゆっくりと頭を撫でると、木の葉丸の瞳から耐え切れなくなった大粒の涙が零れ落ちた。



 三年前、木の葉崩しで祖父である三代目火影を失った木の葉丸。



 振り切れたかのように笑顔で日々を送って居るが、本当はまだ振り切ったいない。



 そんな健気な木の葉丸は、人前では涙を流すなんて滅多にない事だ。



 オレは静かに木の葉丸の頬に流れている涙を優しく拭きながら木の葉丸を抱きかかえる。




「木の葉丸・・・!!」



「木の葉丸君!!」




 他のアカデミー生が周りでおろおろと木の葉丸の名前を呼ぶ。



 それらを耳を傾けながら、浮き足立った雰囲気の中、ひとりじっと私を見つめている少女が居た。




「・・・・・・何があった、モエギ」




 誰が、木の葉丸を泣かせた。



 言外にそう問うオレの言葉に、モエギは少々戸惑ったようだが、意を決してオレをしっかりと見て、口を開けた。




 流石くの一教室のリーダー、空気を読むスキルは下忍並だ。




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