蒼天の使者

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 綱手様からの第一級警戒令を出されたのは昨晩。



 オレは里の中を巡回中だった。



 んー、いい天気だなぁー。




「あ、カケルさんだ!!」



「よぉ、久しぶりだなー。元気にしてたか?」



「勿論!昨日なんかね、Cランク任務に行ってね!!」



「マジか?いい経験になったな!」




 オレに近寄ってきた下忍の少女の頭を撫でながら、少女を褒める。つい一年前までは忍者学校だったのに・・・、一年会っていないだけでも変わるんだな・・・。



 愛らしいようにふわふわな髪を一掴みして指で梳いてまた撫でる。




「カ、カケルさ・・・!」



「ん?どうしたんだ?」



「い、いえ!!何でもないです!!あ!私今から任務があったんでした!それでは!!!」




 顔を真っ赤にして、少女は足早に去って行った。



 ・・・・・・いったい何があったんだろうか。




「おー、頑張ってこいよー」




 兎に角、強制的に別れさせられてオレは再び巡回をし始めた。





**************************





「でね、それでさ!!!」



「あー、もうムカつく!!」



「そうだな・・・。それで?」



 巡回中のカケルです。・・・・・・捕まりました、お姉さま方に。



 一年も居なかったのか、オレが帰って来たことを聞いて、先輩たちが団体でオレを探していた模様です。見事に見つかり、そして捕まって上忍の駐在所。



 他の方々が入ってこれませんよー・・・。




「でさ、マジで可笑しいのよ男どもは!!!」



「そーよ!あんな女を寄って集って愛でるなんて可笑しいわよ!!」



「確かにそれは言える」



 実際そうだしな。逆ハー補正付きの只の女なんだからな。




「ホントに可笑しいわ!ぽっと出のあんな女に、全員よ!しかも男ばっかの若い奴!!ただ化粧が濃くて香水臭い女なだけじゃない!!」



「お前ってそんなにいうタイプだっけ?」



「ま、カケルが生きているだけでもホントに良かったわ」



「そうね。シカマルくらいしかあの女に影響されてないもの」



「だからさ、この前あの女の前でシカマルと談笑していたらさ、とっても醜い顔でこっちを見ていたのよ!」



「うそー!」



「シカマルったらすっごくドン引きしてたわ!!ざまぁみろよ、ホントに!」




 キャラが壊れてないか、お前達・・・。



 ちょっと苦笑を浮かべながらオレは彼女たちの話を聞く。




「あー、なんかカケルに話を言ったらスッキリしたわ!」



「はは・・・どうも」



「でも、可笑しいわよホントに。天女天女って呼んでからさ、他の子が空から降ってきたらその子も天女って呼ばなくちゃならないのに・・・・・・」



「いい事言ったな、カスミは」



「?どういう事かしら??」



「あの女は只の女だ。お嬢様でも忍でもなんでもねぇ」




 足を組みなおして、ニヒルな笑みを浮かべてオレは彼女たちを見つめる。




「あの女は何もできないただの女だ。現に男どもが世話をしなかったら何もできなかった。ただの甘ちゃんだ」



「そうね、我が儘でもあるしね・・・」



「だったら、アイツらは気付かないクズ以下だ。忍でもなんでもねぇ。ただの・・・カスだ」




 そう言うと、行き成り静かになった。



 ・・・・・・なんか悪い事でも言ったか、オレ・・・。




「・・・カケルが言ったら、どうしてかカッコよく見えちゃうわ・・・」



「は?」




 え、行き成りなに?




「あ、それ思っちゃう。なんか、他の天女に夢中の男共に比べてカケルとシカマル君がカッコよく・・・」



「はは・・・。どーも・・・」




 え、だったらなんだ?他の男共が正常だったらオレはそこまでカッコよくないのか?




「いい気分になれねぇよ・・・」



「なんか言ったー?」



「いえ、別に」




 目線を少し下にずらして否定する。怖ェんだよ・・・!!その笑顔が・・・・・・!!!




「で、どうするんですか?これから・・・。このまま里が崩壊するのを待つんじゃないですよね?」



「えぇ。まぁ、今は様子見ってところかしら?あの天女殿がなにをやらかすのか・・・楽しみね」




 着物風の忍服で、口元を隠しながら言うシズカ先輩。妖艶って、こういう方のことを言うんだろうなー・・・。



 小さく笑みを作って考えていたら、視界の端で何かが小さく動いたのに気付いた。



 ・・・忍服を着ていなかった。




「ようやくお出ましってか・・・・・・」



「何か言った、カケル?」



「いや、なんでもないっス」




 そう言って、オレはまた先輩達の愚痴を聞いた。



 日が暮れるまで。




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