蒼天の使者

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昨日は天女と言う奴に会った。予想通りの只のトリッパーだった。こんな奴に、ナルトやサスケは惚れたのかよ・・・。



呆れてものも言えないわ。



・・・・・・つーかよぉ。




「カケルくん!」




コイツをどうにかしてくんね?




「姫宮か。どうした?」




見事に計算された足取りで可愛さをアピールする天女様―――否、姫宮。



ナルト達はどうしたんだよ。




「どうもしてないよぉ。ただ、カケルくんが歩いてるのを見掛けたからぁ、声を掛けただけ!」



「ただ、オレが見えただけで声を掛けんのかよ・・・」



「うん!アタシねぇ、カケルくんともっと仲良くなりたいからぁ〜」




仕草、目線、声の抑揚。全てが全て計算されていた。



事あるごとにオレを探しては見つけて声を掛ける。しかも、ナルト達がいない時に限って。



こっちがシカマルと一緒に居たら、シカマルにも媚びを売るし、他のくの一と居たら割って入ってくの一をのけ者扱いにするし・・・。



オレはお前の物じゃねぇんだよ。




「そりゃ嬉しい事だな。そう言えば、・・・姫宮。ナルト達はどうしたんだよ?」



「ナ、ナルト達!?え、えーっと・・・ま、まだ会ってないの・・・」



「そっか・・・。まぁ、此処は一般者立ち入り禁止だからな。姫宮は町の中を歩いていろ。そうしたらナルト達が気付いてくれるさ」



「そっかぁ。ありがとう、カケルくん!あ、また来るね!!」




・・・遠回しに“さっさと帰れ。此処には来んじゃねぇ”って、言っているんだがな。



んでもって、何で別れようとしてんのに此方に来んの?




「あぁ、また、」



「カケルくん!」




姫宮がオレの腕に絡み付こうとした瞬間、オレの背後から聞き覚えのある声がした。




「・・・サクラ?」




淡いサクラ色の髪をなびかせながら、若干急いでいるような顔で此方に走ってきたサクラ。



オレの腕に絡み付こうとした腕は、オレがサクラの方向を向いたから絡める事が出来ず終いだった。




「どうかしたか?」



「師匠が呼んでる!今すぐ来いって・・・!!」




火影様が?




「上忍だけか?」



「ううん。カケルくんだけ」




オレだけ。・・・・・・まぁいっか。




「サンキュー、サクラ。ちなみに火影様は何処に?」



「火影邸には居ないわ。こっち!」




サクラに言われ、オレはサクラについていった。あ、もちろん天女様に一言掛けてな。




「悪い、姫宮。またな」



「う、うん!ま、またねぇ・・・・・・」




思いきり予想外な出来事があったからなのか、姫宮の顔はひきつっていた。



見事に計算ミスだったな。




「カケルくん早く!」



「すぐ行くから待てよ、サクラ。ったく、転けても知らね・・・って、おい!言った傍から転けんな!」




目の前を急ぎ足で行くサクラに言った傍から躓くサクラ。慌てて抱きしめるように自身に寄せて回避した。




「っ!!」



「ったく・・・。サクラお前なァー」



「ご、ごごごゴメンね!!!」




慌てたように謝ったサクラ。そこまで、どもらなくても良いと思うが・・・。




「まぁ、怪我が無かったから良かったが・・・。次からは気を付けろよ」



「う、うん。じゃあ行こ、!!?」




オレに促すように言おうとしたサクラは何かを見たのか顔を青くして冷や汗を掻いていた。



おいおい、一体どうしたんだよ・・・




「・・・サクラ?」



「ぁ・・・ご、ごめんねカケルくん!い、行こっ!!」



「あ、おい!サクラ、待てよ!!!」




オレを置いて先に行こうとするサクラ。まるで何か恐ろしいモンを見たような顔をしていた。



オレは怪しいと思い、サクラが見ていた場所――オレの背後を振り向く。だが、そこには誰も居なかった。



さっきまでは。




「・・・・・・」




オレは警戒しつつ、サクラの後を追った。





******************************





「何よ・・・。何よ何よ何よ何よ何よ!!!!」




少女は怒り狂ったかのように何度も復唱した。せっかくおしゃれの為に研ぎつづけていた爪を噛んで、ガタガタな歪にさせてヒステリックに叫ぶ。



その視線の向こうには、淡いサクラ色の少女と留紺色の少年が慌てているかのように走っていた。




「何よあのブス女ァ・・・!!!」




少女は先程の光景を思い出しては、怒りを覚えて壁を殴ります。自分の手がどうなっても構わないかのように、まるでマゾのようにだんだん手を痛めつけていました。




「カケルを誑かす奴は・・・アタシがぶっ潰す・・・・・・!」




そう言った途端、少女の周りからは霞状の黒い物体が溢れ出してきました。まるで、彼女を覆い尽くすように・・・。




「まずは、カケルくんの周りに居る女をどうにかしないと!・・・・・・フフ、フフフフフフ。フフフッ。アーッハッハッハッハッハッハ!!!!」




もはや少女の顔が見えないくらいに霞状の物体は現れ、覆っていました。





 
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