蒼天の使者

□06
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朝。


門の前で、俺は一人佇んでいた。


遠くから、数人の足音が聞こえてきた。



「…来たか」



オレは小さく呟いて、姿勢を正した。


前をじっと見詰めていると、ゆっくりと大人数の行列が見えてきた。


そんなに大人数できても邪魔なだけだろうに…。


内心苦笑しながらも、俺はちょっと試しに、とつい悪戯心が働いてしまい、顔を変えた。


そして、そのまま出迎えた。



「…ようこそおいでくださいました、……風影様」


「……」



あんな女に堕落した風影様をなァ。



「本日、風影様に仕えます…。以後、お見知りおき…を!」



そう言うと同時に、俺は飛躍して風影様…もとい我愛羅に向かってクナイを数本放った。



「!?我愛羅!!」


「………」


「なっ!」


「……流石」



俺は小さく感嘆した。


本人自体の力が衰えていたとしても、砂の守鶴は衰えていないか…。



「貴様、何をしているのだ!!!」



我愛羅の姉・テマリが叫ぶ。


おー、一年前よりカッコよくなったなー。


いやいや、チャクラの量も大きくなってるし…風遁の技も増えたか?



「何って、見て分からないのですか?」


「何だと…!!」


「俺は、ただ…風影様に喧嘩を…」



瞬歩で我愛羅の前に行く。



「!!」


「売っているだけですよ」



俺の拳が、我愛羅の顔面に炸裂



「……」


「………」


「……っふ」



しなかった。


我愛羅と俺の拳はほんの隙間だった。



「!!!」



俺は視界の端から砂が襲ってきたのを感知して、瞬歩で距離を取った。そのまま、降参のポーズをとった。



「参った参った。いやー、相変わらずその砂だけは厄介だなー」


「!この声は…」


「お、お前…もしかして…」



我愛羅の兄・カンクロウがうろたえながらも聞いてきた。


カンクロウの言葉を待ってましたと言わんばかりに、俺は自分の手で自分の頭を引っこ抜いた。


そこに出てきたのは本当の素顔。



「久し振りだな、テマリ、カンクロウ、我愛羅」



俺が言ったと同時に、一陣の風が俺達の間で舞い踊った。



*******************************



「この馬鹿者が!!」


「っ!!!」



綱手様の声が、火影邸に響き渡る。



「風影を出迎えるだけだというのに、お前は何風影に喧嘩を売っているのだ!!」



俺に叱る綱手様。


俺の後ろにいるのは、砂の三忍。この言い方懐かしいなー。



「カケルッ、聞いておるのか!!!」


「はいはい、聞いてます。そんなに睨まないでくださいよ。折角の美人が台無しですよー」


「茶化しても無駄だ」


「ありゃりゃ…」



綱手様の言葉に俺は脱力した。が、気を取り直して砂の三忍を見た。



「兎に角、まぁ…お久しぶりだな」


「確かに久し振りじゃん?1年近く、会ってなかったじゃん?」


「1年かけての長期任務だったからな。会えなかったんだわ」


「そうなのか。何処かで野垂れ死んだかと思ったがな」


「その言い方はあまりにも酷いんだが…」



相変わらず、テマリは毒舌で俺はカンクロウと苦笑し合う。そして、俺は我愛羅へと目を向けた。



「久し振りだな、我愛羅」


「そうだな、カケル」



無言が続いた。


何か、前よりかは穏やかになったと思うが…。



「俺に対して冷たくない?」


「気のせいだ」


「うっそだー。俺と目を合わせてくれね―じゃん」



そう言いながら、俺は我愛羅と目を合わせようと我愛羅と同じ高さになるようにしゃがむ。


それでも見てくれない。



「おいおい。お前等、何やってるんじゃん?」


「何って…、我愛羅と目を合わせよう作戦」


「何だその間抜けな作戦は」



テマリとカンクロウの呆れた溜息が、俺にまで届いた。お前等、後で覚悟しとけよ…。



 

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