from

□彼女の仕事
1ページ/6ページ


私には、大好きな人がいます―…














『長太郎ー今日は中庭で食べよ!』



鳳「うん。いいよ」




鳳長太郎。ここ氷帝テニス部のレギュラーで、テニスは強くて、背が高くて、優しくて、おまけにかっこいい…

そんな彼とは付き合って、もうすぐ三ヶ月になります。

二年生になって、同じクラスになって、隣の席になって…恋をした。


私は、運命だと思うんだよね。…うん。絶対そうだよ!!






私達は昼になると、いつも一緒にお弁当を食べている。


ああ、恋人って感じ!



でも、私にはライバルがいるのです。




(わ、まただ!)




長太郎がお弁当箱のふたを開けた瞬間、すぐに目を奪われる。


今日は…太巻きか。




『…ちょ、長太郎のお母さん、料理上手だよね』



鳳「ああ…母さんの趣味みたいなものだよ。親父の作るののついでらしいけど」




しゅ、趣味?ついで?



恐るべし、長太郎母…!




(すごいなぁ…)




私は料理が大の苦手で、家庭科の成績もいつも悪い。


でも、彼女って言ったら、彼氏のお弁当を作るものなんだよね?




(太巻き、かぁ)




長太郎の口に運ばれていく太巻きが憎らしくて、思わずじっと見ていると、その視線に気付いたのか長太郎と目が合う。




鳳「…南依都、もしかして…」



『え!何?』



鳳「これ、食べたいの?」




キョトンとした表情で、尋ねてくる長太郎。



そう、まずは敵を知らねばいけませんのです!




『じゃ、ください!』



鳳「はい」




ニッコリ笑って、私のお弁当の中に置かれた太巻き。



てっきり、「あーん」って言って食べさせてくれるのかと期待してたのに…っ




物欲しそうに長太郎を見れば、「要らないの?」と不思議そうに聞かれたので、憎らしくも美しい太巻きを勢い良く口に運んだ。











.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ