あの日見た空。

□Ep-41
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動きを止めた危力系。
その背後に現れた翼。
そして、蜜柑達を庇うように前に出た美羽。




【Ep-41 目覚めと眠り】






「間に合ってよかったよかった…
大丈夫か、お前らー?」



「つ…翼先輩!?」



蜜柑が現れた翼に驚きつつも、嬉しく思い駆け寄っていった。



「…いきなり、茨木のばらに連れて来られてさー
お前らと棗が危ないつってな」



「…のばらちゃん?」



「詳しい事情は知んねーけど、何かやたら必死でさ。まあ、信じてついてきて正解だったけどな。
てか、暗くてよく分かんねーけど、あいつ等何者だ?」





「あ、翼先輩っ!!
ウチ等こんな事してる場合じゃ…っ」



「え?」



「美羽が…また。
でも、少し意識があるみたいで庇ってくれて…」



「っ!?」



蜜柑の言葉で、翼は妹を見た。美羽は、先ほどのままの状態でただ立っていた。



「…そうか」



「それに、棗を…棗を探さな!」



「棗?」



「棗は、妹を探すために此処に…
このままやと、棗はペルソナに、此処の地下牢にずっと閉じ込められてしまうっ」



「ちょ…落ち着け蜜柑。
ちゃんと分かるように話せ」



「美羽も棗を閉じ込めないために頑張っとるんやっ
せやから、ウチ等がこっから早く棗を連れ出して…」





―ヒュッ…




「「っ!」」




―ガシャ…ン




蜜柑の話を遮るように飛んできた攻撃。それによって、翼の持っていたランプが壊れ、地に落ちた。



「黙って聞いてれば…ろくに俺等の相手にもならねーお前らが、俺等を出し抜いて“阻止”だあ?」




攻撃を仕掛けた颯は、動かぬ体を必死に動かし体をよじった。



「おい、そこのお前っ!!
…やっぱりお前か、安藤翼っ」



颯の手には懐中電灯が握られており、翼の顔が照らされた。



「げっ、お前…空気使いの…!」


「先輩、知り合い!?」


「…同じクラス?」



疑問系で蜜柑に応答する翼。


「て、何であいつ動いてんの!?アリスまで使ってるし…
“影あやつり”で自由を一切封じてるハズ」



「それにはワケが…」



翼の後ろからひょっこりと出てきて、地下に張られてる結界でアリス使用が難しくなってると説明した。



「え…颯が居るってことは、もう1人居るあいつも危険能力系……」


「つばさくぅ〜ん」




「……え」




「やだやだ、久しぶり〜!!
こんな所でまた会えるなんてルイ感激〜っっ☆」






背後のもう1人の危険能力系――瑠衣の存在を認識した瞬間、翼の思考は一旦停止した。





★★★








葵…っ




地下の別所では、八雲と棗が派手にぶつかり合っていた。
両者とも戦局を譲らない状況だ。







「…っ!!」



流架は、地下に居たネズミ達の様子などから、そんな棗の状況を知り得ていた。



(棗…)



時間が経っていく事に流架は苛立ちと焦りを感じていた。










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