あの日見た空。
□Ep-38
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「…お前の言いたい事と、今の美羽の状態は関係してるのか?」
「…あ。う、うん」
「……」
「クリスマスパーティーの時、私…颯君からあの日みはねちゃんに校長先生が直接会うって聞いたの」
「っ!!」
「それで、心配でずっとみはねちゃんを高性能音声ききとりオペラグラスで見てたの…」
「……(こいつ、何を見てたんだ)」
「そしたら、ダンスの最中ずっと壁に体を預けて立っていたみはねちゃんの所に、総代表が来て何か話してたの…。
そしたら急にダンスの途中だったみかんちゃんの所に走って向かってて」
「?」
「それで、みかんちゃんが転びそうになった時に丁度みかんちゃんの所について…
でもその時、みかんちゃんは踊った相手の人に仮面をはずされさちゃってて…」
「(…ややこしいな)」
「それで、その人…はっきり見えなかったけど校長先生だったと思うの……」
「――っ!?」
「校長先生は直ぐに会場から去っていたんだけど、みはねちゃん…校長先生を追いかけて会場を出て行ったように見えて――
私…この事、棗君には知らせておいた方がいいと思って」
「……くそっ」
「あと、昨日…ペルソナから聞いたの。みはねちゃんを…」
「美羽が何だよ…っ」
「こちら側に…迎え入れた。って」
「…っ」
【Ep-38 身を置く場所】
「…美羽が寝返った?
神野先生、どういう事ですかっ!?」
「…君たちには言ってなかったが美羽君はクリスマス以来姿が見えなくなった」
「……」
「きっとこの2日の間に何かあったんだろう。
神野君、此方の情報が初校長に漏れた形跡は?」
「…ありませんでした」
「…そうか。まだ、美羽君が寝返ったとは限らない。
神野君は美羽君の様子をしっかり見といてくれ」
高校長は顎に手をおき、考えてから神野に指示を出した。
「はいっ」
「校長、僕たちは?」
「…2人は、なるべく美羽君には会わないでくれ」
苦い顔で櫻野と昴は頷いた。
★★★
「…翼先輩っ!!
なんで美羽を連れてこんかったん!?」
「…蜜柑」
「ここ2日間学校来てなかったから話したい事とか…いっぱいあったのに」
繋がろている手に力をいれて、俯く蜜柑に翼は「参った」というように頭をかいた。
「蜜柑、悪いけど今は我慢してくれ」
「翼先輩?」
「今のあいつは、なんかヤバい」
「自分の妹でしょ?」
「蛍っ!?」
突然現れた蛍は、翼を鋭い目付きで見やった。
「妹だ。だから分かる。
今のあいつは、あいつじゃない」
「……その根拠は特力の教室で聞くわ」
そう言って微笑む蛍は、蜜柑の手をとって、翼から蜜柑を奪い先を行ってしまった。
「…根拠って…。
どうすりゃいいんだよ、美羽っ」
翼はそう言って、自分の足元を見た。
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