あの日見た空。

□Ep-21
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「らすとだんすの伝説?」


「なんや、それ?」


「「「えー、知らないの、蜜柑ちゃん達っ」」」




【Ep-21 芽生え始めた心】



アリス祭4日目最終日の後夜祭がやってまいりました。
初等部B組で蜜柑や美羽、蛍を除く女子達は朝から浮き足立っていた。
なんでも、“ラストダンスを踊った者同士が結ばれる”という学園における恋の3大イベントであるようだ。



「美羽ちゃんは誰かと踊るの?」


「ん?…特には…」


「もぅ、そんな事言ってっ!じゃあ、気になる人は?」


「いきなり何言い出すの、野乃子ちゃんっ!!」

「きゃぁv」

ひときわ大きい黄色い歓声が聞こえてきて、クラス中がそこに目を向けた。


「…何、あれ」


「見ての通り、棗君・流架君のファン達だよ」

「ラストダンスの申し込みに来たんじゃないかな」


「へ〜。モテるんだ…棗と流架って。
もしかして、野乃子ちゃんとアンナちゃんも狙ってるの?」


「何言ってるのっ」
「私達は…ね」


そう言って駆け寄ってきた二人の口から「岬先生…」と耳打ちされた。


「うっそっ!!」


「きゃー、言っちゃったっ…内緒だよ?」

「…う、うん!!」



★★★



「棗君〜、流架君〜。
今日、ラストダンス誰と踊るかもう決めてる?」


「…うぜぇ、消えろ」

「いやぁんvこわ〜いっ」


周りに囲むように群がってきた中等部、初等部の女子に棗はキツい言葉を投げるが、女子達は引く気配がない。



「ちょっとあなた達―っ!!」


パーマがついに動いた。
パーマが威嚇すると、女子達は怯むように後ずさる。



その様子を少し見ていたら、棗と目があった。
が、昨日の事があり気まずくて目を反らしてしまった。


「ね―ねー、蜜柑ちゃんは誰と踊るの?」

「「もしかして流架君〜?」」


美羽周りにいた女子達は今度は蜜柑に問い始めた。


「へ?」


「だって、白雪姫と王子様コンビだし―
キスまでしちゃった仲だし…」

「ちがうって!
あれはそんなんじゃなくって…」

あらら…蜜柑、真っ赤。
こういう時の女のパワーって収拾がつかないんだよね…


他人事の様に蜜柑に同情の眼差しを送った。


「ねぇ…あの子って」


(ん…?)


「昨日の王子役の…?」

「そうそう。
棗君のパートナーになったとかいう新入生でしょ?」

「…確か流架君もあの子じゃない新入生のパートナーになってるのよね」


「どの子?」

「えっと…」


(…ヤバい、私にも火の粉がきそう…)


美羽は咄嗟の判断で遠巻きにいる女生徒に背を向けた。




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