無双
□遅く起きた朝は
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《遅く起きた朝は》
レースのカーテンから、高く登った日の光が入ってくる。
薄く目を開ければ、愛しい人の寝顔がある。
そこから視線を少しずらすと、壁にかけられた時計が十時半すぎを知らせていた。
―寝すぎた。
昨日の事を思い出す。
※ ※ ※
立花宗茂は、上司であり恋人でもある毛利元就と彼の家に帰ってきた。
少し遅めの食事をし、その後たあいもない話をして、事に及んで……。
ここ最近、触れることすら出来なかったため枷が外れてかなり激しく抱いてしまったが……「かわいかったとしか、言いようがない」と宗茂は目を細めた。
しかし、直ぐに現実に引き戻される。
元就の体を綺麗にして、洗濯をしないと……
隣で眠る元就を起こさないようにベッドを抜け出し、身繕いをし元就の着替えとシーツの替えを用意する。
かって知ったるなんとやら、冷蔵庫の中を見て遅い朝ごはんを兼ねた少し早い昼ごはんを作る。
冷蔵庫の中にはあまり物がないが、なんとかツナおろしスパゲティができるだけはあった。
鍋に湯をわかし、塩をひとつまみ入れる。
お湯を沸かすその間に大根をおろし、ツナとマヨネーズをあえる。
「宗茂、おはよう」
粗方でき、あとは並べるだけになったとき、元就の声がした。
酷く眠たそうな顔をして、緩慢な動作で現れた彼は、既にシャワーを浴びたのか着替え着替え終わっている。
「すぐできるので、座ってて下さい」
「悪いね」
なら、お言葉に甘えてとリビングに行く元就を見送り、盛り付けに入る。
皿に小量のバターであえた麺を盛り、その上にツナマヨと水分を良くとった大根おろし、ちりめんじゃこにきざみ海苔を乗せれば完成だ。
リビングで待つ元就の元に運ぶ。
彼のとなりに座り、顔を覗くとやはり疲れの色が見てとれた。
「体、大丈夫ですか?」
吹き出しそうになり、元就は無理矢理口の中の物を飲み込み、逆に噎せる。
「なんだい急に」
「いや、昨夜はあんなに無理強いをしてしまいましたので気になりまして……」
爽やかな声の爆弾に、元就は昨夜の事をおもいだして顔を赤くする。
確かに、昨日は久しぶりだったため自分も行為に溺れたが、それを日の高いうちから言われると恥ずかしいくて仕方ない。
宗茂の心配するように、元就の体にはまだ疲れは残っているし主に腰が痛く、体を動かすのがやっとだ。
大丈夫だといっても、宗茂もその辺りは理解しており、今日一日は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるだろう。
それを申し訳ないと思うも、一緒に少し遅い朝を迎えるのも、悪くないなと元就は考えていた。
だから、大丈夫だと伝えた上で『君が今日一日、家のことやってくれるんだろ?』という。
宗茂も、解りきっていたように『はい』と答える。
遅く起きた朝は、なんだかんだで幸せだ。
20110508
力尽きました。
現パロは楽しいけど、設定が……
読んでくださり、ありがとうございました。