12/30の日記

22:24
餅つき
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 そーれの掛け声と共に杵で餅をつく音が響く。
 上半身裸に晒しを巻き、したは薄い布のズボンという真冬の中では確実に風邪を引きかねない格好で、餅つきをする美男子二人を眺める老若男女。
 とくに女性は黄色い歓声が響いている。
 商店街の会長と雪光がガッチリ握手し、黒い笑顔を浮かべていた。

―宗茂君、風邪引かないかな。
―……いざとなれば元就さんが看ればいいと思いますよ。

 宗茂が餅つきをやるときき、元就は見にきていた。
 義姉の関係で何度かはじめは彼に会ったことがあった。
 その縁かなんどか話したことがある。
 あの格好で餅つきをやると聞き、はじめも大丈夫かと雪光に聞いたが、彼女は楽しそうに『ほら、宗茂君は毛利さんに看てもらえばいいし、ほら、あれは風邪ひかないっていうでしょ』とさらりときつい言葉をいって、ルンルン気分で去って行く雪光の背中をはじめは見送った。

―宗茂さんは最初からノリノリでやる気満々でしたから良いとして……
―ノリノリだったのかい?
―はい、ノリノリです。

 あの方は変わってますから、のんびりと答えるはじめに「うん、そうだね」と元就がいえば、はじめはほわわんと笑った。

―ねねさんを出汁に良いように使われてますからね、清正さんは。
―意外と玩具にされやすいよね、彼は。
―はい、良い具合に操りやすいです。

 サラリと恐ろしい事をもらす彼女は、綺麗に笑う。

―元就さん、来てたんですか?

 終わったのか、宗茂はコートを羽織って現れた。
 少し息があがっているが、肌は汗ばみ寒さなど感じさせない。
 ふいに、クリスマスの夜の事を思い出す。
 耳元で彼から言われた言葉を思い出し顔が赤くなる。
 宗茂の顔をちらりとのぞくと、彼も心なしか顔が赤くなっていた……様な気がする。

―あの……お二人とも?

 冷めますよ。ニコリと笑うが心なしか顔をひきつらせたはじめが餅を差し出している。
 いただこうか。はい。そう言うと二人は餅を受け取った。






―亮ちゃん。私も彼氏欲しいかもしれない。
―あてられたのか?お疲れさん。






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