12/31の日記
21:47
大晦日A
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―もう、二人ともダメじゃないですか、清正さんからかっちゃ
フル・フルに引きづられた二人は、そのままはじめに小言を言われていた。
―後がめんどくさいんだから、もう少し考えて下さい。
―いや、めんどくさいも可愛そうだと思うぞ。
さりげなく亮が突っ込むと、はじめは本当の事ですと口を尖らせた。
―警戒されるようななったら、動かしづらくなります。
―はじめちゃんも充分黒いよね。
―そう言えばお二人とも、実家に帰りますか?
はじめの問いに、二人は頷いた。
忍足は実家が大阪の為これから電車と新幹線に揺られて帰る。
対する千石とフル・フルの二人は地元民の為すぐに帰ることができる。
―なら、忍足はもう行くのか?
亮が聞けば、忍足はあぁと言って笑った。
学生時代からの腐れ縁の四人は其なりに仲がよかった。
―ほな、みんなおおきにな。
―うん、今年もありがとうございました。
―また来年もよろしくぅ。
―よろしくな。
―あぁ、ほなまた来年。
※ ※ ※
お正月用の榊や仏花が飛ぶように売れ、午前中で今日の分は売れてしまった。
店の片付けをし、仕事納めをする。
バイトの甲斐は先日から実家に帰っている。
また来年、よろしくお願いしますと言って元気よく帰っていった。
―宗茂、終わったのか?
―あぁ、これで終わりだ。
珍しいなお前が……そう言って、口角をあげ清正に言えば、別に待ってた訳じゃないとそっぽを向いた。
―相変わらず意固地だな。
―誰が意固地だ。
ありがとう、そう清正に伝えて宗茂は笑った。
元就との事で色々迷惑をかけたり、なんだかんだと自分を気にかけてくれた。
それだけでも、本当にありがたかった。
だからそれを言葉にし、清正に伝えた。
宗茂の言葉に面をくらって、キョトンとしたかと思えば顔を赤くした。
―なっ、別に……
―なんだ、照れてるのか?
―照れてない。バカが。
照れる清正に、宗茂はこらえきれなくなって笑い出した。
―清正、
―来年も、よろしくな。
―あぁ、来年もよろしく。
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21:15
大晦日@
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家の中は大方片付いた。
小さな荷物を持って手塚兄妹は寒空の下戸締まりをする。
正月は祖父の家ので過ごすのが手塚家の決まりになっていた。
海外出張中の両親も帰ってくる予定だ。
―まなさんは、今年も六花堂で年越しですか?
―はい。実家には明日帰ります。
長屋の人間の大半は実家に帰り家族と過ごす。
雪光は管理等の理由から顔を見せるくらいで、天涯孤独の身の風水は、昔馴染みのヤツデに顔見せをして直ぐに長屋にもどってくる。
風見鶏は他の店よりも1日早く店を閉め、今日はゆっくりと過ごしていた。
クリスマス、いないはずの人間が書いたカードが同封されたプレゼントは、あの後自室の押し入れの奥に封印した。
本当に、死んだ人間からのプレゼントかどうか解らないためだ。もし本当なら、それを雪光の店に預けようとヤツデと二人で話し合った。
雪光は、また閑古鳥を呼び寄せそうで怖いからやだと拒否されたが、それでも送り主が『プレゼント』からほど遠い人物だったためこんな結論にいたった。
―深司、今年もありがとね。
―ども、まなさんも風水さんもよいお年を。
―よいお年を、二人とも。
―うん。
―よいお年を〜。
※ ※ ※
午前中の配達を済ませ、清正も仕事納めだ。
清正は、例年通り豊臣夫妻の元に帰り年越しする。
―あぁ、清正さんも仕事納めですか?
―ども、清正さん。
―忍足と千石、お前らも帰るのか?
忍足と千石も実家に帰るのか、荷物を持っていた。
―清正さんもですか?
―あぁ、
―良いですよね、あんな綺麗なお姉さんの所に帰るんでしょ、うらやましぃ。
―せやなぁ、うらやましいしぎるわぁ。
鼻の下を伸ばしてねねの姿を想像する二人に、清正は『いかがわしい想像をするな』と声をあらげる。
三度の飯より女の子大好きな千石と、自称ムッツリーニだがホントはねあかな忍足に清正は頭を抱えたくなった。
そんな清正を見かねてかわからないが、はじめと亮が現れて二人にゲンコを食らわして引きずって行ったのだった。
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