03/15の日記

21:58
そのチョコの本当の意味
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≪そのチョコの本当の意味≫

 心臓が早鐘を打つ。
 異様な速さで警鐘を鳴らす心臓を無理やり落ち着かせ、元就はなるべく悟られぬよう表情を作る。

 バレンタインの日に元就が宗茂に渡したチョコの意味が知りたい。

 確かに彼はそういった。
 真剣な眼差しをそらすことなく、宗茂は元就をじっと見つめてきた。
 そんな顔も綺麗だなと見惚れてしまう自分を「オイ、それはまずいよ」と止めに入る二つの自分、そんな中で元就は彼にきちんと答えを上げることができないそのことを苦しく感じた。
 もちろん、顔に出さないように。
 まさか、「自分はあなたを愛しています。だからチョコをプレゼントしました」などと口が裂けても言えない。
 宗茂も仮に男だ。
 いくら同居しているとはいえ、そういう対象で見られているとなるとどういう反応を返してくるか不安だ。
 いや、結果が見えている。
 気持ち悪がられて、嫌われるのが関の山。
 今の生活が崩れるのも間違いなし。
 それがわかっていながら愚を踏むほど、元就は馬鹿ではなかった。
 なかったからこそ、あいまいに笑った。
 そして、お礼だと彼に言った。
 心の中で、ごめんなさいと呟いて……








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