05/05の日記

15:46
ミルクたっぷり(スイート5題より宗就)
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 世間がゴールデンウィークで騒いでいる頃、元就の職場である高校の図書館に宗茂が遊びに来た。
 在学中から親交のあった二人だが、宗茂が学校を卒業してからは定期的に図書館に来ては二人で話をしたり、宗茂が元就の仕事を手伝ったりしていた。
 今日は、某有名スーパーで買った柏餅を持参して来たのだが、その柏餅が少し変わっている。
 つぶ餡、こし餡を筆頭に、蓬にみたらし、桜餡、味噌餡、カスタードにバナナ、苺ミルク、クリームチーズと変わった味がいくつもある。

「これは本当に食べれるのかい?」
「えぇ、スーパーに売られていたものなので」

 たぶん大丈夫だと笑う彼に元就は、食べれたとしても美味しいと感じるかどうかは別問題だよと苦言を言ったが、宗茂に笑顔で流された。
 なら、準備してきますと準備室のコンロの方へ向かい、宗茂は小さな雪平鍋に牛乳を入れことことと温め始めた。

「元就さん」
「ん?なんだい」
「原稿はよろしいんですか?」

 たしか、来週〆切でしたよね。鍋に何か粉を入れ、ゆっくりと牛乳をかき混ぜながら、宗茂はこちらを見ずに聞いてくる。
 学校に勤め出し、一応自身が作家であると隠していた元就だが、つい先日ひょんな事から宗茂にばれてしまった。
 が、宗茂は多少驚いたが、態度もなにも変わらず普段通りに接してくれた。
 元就は、その心遣いが嬉しかった。

「入りましたよ」

 宗茂が持ってきたのは、先ほどの柏餅と抹茶オレだ。二つに切ったため全部の味を食べれるしようになっている。
 つぶ餡を手に取り抹茶オレと共にいただく。
 ほんのり桜の香りがするそれは、あまり甘くなく柏餅とも良くあった。
 美味しいですねと笑う彼に、元就もそうだねと返す。
 一人でいるときよりも、宗茂と何でもないことを話す、それだけで気持ちが暖かくなった。
 この何気ない日常が愛しく、彼が自分の中で大きな存在になっているのだと確信した。




 目覚めると、慣れ親しんだ天井が目にはいる。
 元就は夢を見ていた。
 何年も前の夢を……






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