めいん2

□第三部 きずな 前編
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「おい、桜屋の新造出し行ったか?」

「ああ、また良い女が一杯でよ」

「じゃなくて、男。陰間がいただろ」

「陰間…ああ!牙だろ?紅い目に紅の着物が良く似合っててよぉ。言っちゃあ悪いがあいつが一番美人だったぜ」

「さすが芸達者な鹿丸坊ちゃんが仕込んだだけあるな。琴も踊りも、歌まで天下一品ときたもんだ」

「水揚げもまだなのに奴目当てで来る客が絶えないらしい。……なあ、牙のハジメテは誰だと思う?」

「ええ〜、やっぱりアスマの旦那じゃねぇの?菊屋と桜屋は親交が深いし何より坊ちゃんが慕ってらっしゃる」

「そうかぁ、俺は自分が牙のハジメテに相応しいと思うんだが」

「お前みてぇな半端モノじゃ牙は買えねぇよ」




(……桜屋の牙…ふぅん、面白そうじゃないの……)
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