めいん2
□第四部後編 交差
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「……ん…」
「……目、覚めたみてぇだな。」
気がつくと、鹿丸の部屋だった。
カラダは綺麗になってる。
後始末をしてくれたんだろう。
鹿丸に汚いものを触らせてしまった。
当の本人は俺に背を向けキセルをふかしている。俺のことを見てくれない。
案山子が去った後の俺の姿を見たんだ。
おぞましすぎる光景だったに違いない。
俺は汚れちまった。
鹿丸がこっちを向きたくないのも分かる。
…鹿丸は俺への思いなんか冷めちまったんだろうな……
「……フー……ごめんな。牙。」
……え?
鹿丸は後ろ振り返らずに俺に話しかけてきた。
「お前のことを守ってやりたかったのに。お前と一緒にいてやるって言ったのに……。」
……そこまで言うと、キセルを落としブルブルと鹿丸が震えだした。
……まさか、泣いてるのか?
「鹿ま…「お前のこと、直接案山子から聞いた。あいつ、笑ってた……。何もできなかった俺を見て。
お前は俺を、見世を…守ってくれた。…俺があそこで案山子を帰らせてたら…。
…主人失格だ。…情けねぇよな俺…。…本当、ごめんな…ごめんな…」
ポロポロと鹿丸から流れる涙が着物の袖に染みを作る。