復活★short

□有敵風紀
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よろしければ無敵風紀からご覧ください。

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多分知らず知らず、彼を傷付けてきたと思う。





「雲雀さーん」

「…また咬み殺されたいの」

「雲雀さん授業出ないの?」

ソファーにもたれ仕事をする雲雀さんの、隣に腰をおろした。


「隣に来る意味が分からない」

「えー」


雲雀さんが、持っていたペンを前方へ向ける。



「…せめてあっち」



「あっ、それ私があげたペンだ」

「…」



少しずつだけど、雲雀さんに近付けているのが、分かるようになった。

そして応接室に遊びに行くのは、毎日の日課になってしまったのだ。


「雲雀さん」

「…何だい」

「雲雀さん返事した!」

「…」


「…雲雀さん?」

「…何だい」



もう雲雀さんしか見えないなぁって、盲目も承知に。



先生から呼び出しをくらってしまった。


「しばらくここにも来れないかもー」

そう言ったら表情を崩さずに言うんだよね。

「たまには教師も役に立つもんだね」

「そんなぁ」


それから、妙に教室が静かな日があった。
静か、というか無音。

そんな時は

「雲雀さん、私の教室来てたでしょ」

「行ってない」

「嬉しかった」

「聞いてるの?僕の話」

「ありがとう」

もうすぐ桜の季節だった。


「卒業する時は一緒に卒業しようよ」

そう言ったら、馬鹿なの?とそっぽを向かれた。
ちょっと寂しかった。

でも卒業式に、そっぽを向いたまま、彼は隣に座ってた。


「雲雀さん、クラス…」

「うるさいよ」

「卒業式、出るんだね」

「…」


校長先生に一礼もしない。
後輩からの花も受け取らない。

だけど卒業証書だけはちゃんと貰ってた。


校門を出る雲雀さんは振り返らなかったけど、やっぱり寂しいんだろうな、と思った。




「巻き込まれて良かった」

キスして、抱きしめてもらった。

雲雀さんの柔らかい髪の毛が首筋に当たってくすぐったかった。


雲雀さん、たくさん有難う。


結局プロポーズしたのは私になっちゃったけど。

でも、もう言わなきゃ駄目だって何故だか思ったから。



でも私はまた貴方を傷付けてしまうんだね。

さよならも言えなくてごめんなさい。

たくさん雲雀さんの時間を貰ったのに、最後のお別れがこんなんでごめんなさい。

馬鹿だから私はききます。

また会えますか?




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