拍手など

□人類最強のメイドは、地上最強!
2ページ/8ページ





まずはハタキを持って、高いところの埃を落とすところから。
普段目につかない、棚の上や壁の出っ張りも綺麗に埃を落とす。
こびりついて落ちない汚れは、ぬるま湯でぬらしたぞうきんで綺麗に拭き取る。

次に床掃除。
そのまま埃を掃き出すと埃が広がるだけ。
だから、飲み終わった紅茶の茶葉を床の上にまいてから掃く。
だいたいのゴミが掃き出せたら、今度は拭き掃除。
今度は冷水でゆっくりと丁寧に拭き残しがないように、隅から隅まで磨いていく。

ああ、そうだ。
窓の掃除を忘れていた。
硝子を拭くことはもちろんだけれど、しっかりと溝にたまった汚れも落としていく。
毎日の様に掃除をしているから、そんなに汚くはない。
けれども、私のご主人様はかなりの潔癖症なのだ。
少しの塵だって、残せない。

ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。
私、メイドをさせて頂いております、ヴィネと申します。
私のご主人様は、人嫌いでして、広いお屋敷で働いているのは私一人だけ。
しかも、お忙しいご主人様は滅多にお屋敷に戻ってこないばかりか、いつ帰ってくるかもわからない。
毎日、広いお屋敷を綺麗に掃除し、布団を干して、食事の下準備をして。
いつ、ご主人様が帰ってこられても良いように準備をしております。


ギィィィ・・・・バタンッ!


誰もいないはずのお屋敷に扉の閉まる音。
この音は、正面玄関の扉の音!
どうやら、ご主人様がお帰りになられたようです。
私は身支度を簡単に調えると、急いで玄関へと向かいます。
走るなんて、はしたないことはしません。
ご主人様に恥をかかせないよう、あくまで気品を漂わせ優雅に・・・。


「お帰りなさいませ、リヴァイ様」


45度に頭を下げて、ご主人様・・・リヴァイ様を迎える。
すぐに顔を上げて彼の手に持っている荷物を受け取り、流れる動作で彼の後ろへと着く。

飛んでくる素早い蹴りをすぐに片手で受け止めて。


「蹴りのスピードがいつもより遅く感じます。
 疲れがたまっているのでしょう。お風呂になさいますか?寝所の準備は整っております」


続いて、振り回される腕。
彼の拳を軽く流して、逆に足を掛ける。
リヴァイ様がバランスを崩したのは一瞬で、すぐに体勢を立て直して再び蹴りが飛んでくる。
その足首を掴み上げ、彼の体を床に倒す。
すぐに彼の背中に乗り両手を背後でまとめ上げることで完璧に動きを封じる。

倒され、身動きが出来ない状態でも尚、振り返り私をにらみつける鋭い瞳。
未だ反撃の機会を疑う、獣のようで。
ゆっくりと動く、彼の口から発せられる言葉の一つ一つを取りこぼさないように耳を傾ける。









=人類最強のメイドは、地上最強=








「テメェは誰だ?俺の家で何をしている」


私としたことが、ご主人様とのファーストコンタクトだったことをすっかり忘れておりました。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ