忍乱・連
□月
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皆が寝静まる深夜。
「ギンギーン!」
・・・まぁ、若干の例外を除き、忍たま達が寝静まる深夜。
くノ一長屋の一室からこっそりと抜け出す影があった。
それは素早い動きで鐘打ち塔の屋根に登ると動きを止めた。
「・・・」
屋根まで一気に登った茜。
見上げた空には、闇夜を照らす満月。
月光に包まれ夜は、夜目の利く忍びにとって遠くまで見渡せる夜だ。
忍術学園を見渡せば、当たり前の様にこの時間まで自主連を重ねる潮江文次郎の姿。
他に人影はないかと探せば、どこからか金槌の音。
「・・・金槌・・・・」
茜が思い浮かべるのはただ一人。
用具委員長を務めている目つきの悪い同年生だ。
後輩達を先に帰して、一人で用具の修理をしている姿が容易く想像できた。
茜は苦笑を浮かべ音を頼りにその方向へ向かった。
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