Short story

□君の名を呼ぶために
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『歌姫』みんなは僕をそう呼ぶ。

幼い頃から変わらない女のような声。

女のような容姿。


母がたまたま応募したオーディションに受かり、それ以来毎日のように入ってくる仕事。

高校へも行けない日々が続き、とうとう嫌気がさしてきたある日、僕の声が、消えた。



テレビ番組は

『声を失った歌姫』

の話題で持ちきりだ。


医者によるとストレスが原因とのこと。

とりあえず仕事を休み、しばらく母の実家へ休養をとりに行くことになった。

一見母は僕の心配をしているように見えるが、実際のところ彼女は僕の生み出すカネにしか興味は無いのだ。

明日から当分の間、そんな母とも一緒に居なくてすむ。

それだけで心が軽くなった。

とにかくこの日は早めに電気を消して、眠りについたのだった。
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