Short Story
□堕ちて、落ちて、オチテ
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祭当日☆
早朝、江戸の小さな船着き場に一隻の船が着陸した。
「夕方まではここにいるでござるか?」
「まぁな、俺ァ一眠りするから、昼くらいになっても起きなかったら起こしに来てくれ。」
「御意」
☆★☆★☆★☆★
「そーごぉっ、起きやがれぇっ、祭の警護の準備すっぞ。」
「あ、土方ー、今日はかき氷とリンゴアメとヤキソバとタコ焼きとお好み焼き、それからお面買ってくだせぇ。あ、あと射的も。」
「テメーは俺を破産させる気かぁぁぁあ!!!」
「お願いしまさァ」
総悟は知っている。この身長差を利用しての上目遣いが土方には絶大な効果をもたらしていることを。
総悟は知っている。これを使えば土方はどんな言うことでも聞くことを。
「こ…今回だけだ。ちゃんと仕事しろよ。」
「ありがとうございまさァ♪」(ちょろいな)
土方は知らない。腹の中でどす黒いことを言っていることを。
いや、知らないほうがいいのかもしれない。
☆★☆★☆★☆★
「銀さんっ!?銀さんっ。いい加減起きてください。お祭り始まっちゃいますよ。」
「うるせぇーなー、駄眼鏡のくせに。」
「うるせーよっ、マダオに言われたくねぇーんだよ。」
「新八、どくアル。私がたたき起こしてやるネ」
「スイマセン、今すぐ起きます。」
神楽が助走を付けはじめたところで、命の終わりを感じた銀時は飛び起きた。
いつものふざけた格好ではなく、淡い紺の綺麗な浴衣に着替えた銀時は、いつもより色っぽく見えた。
「銀ちゃん、なんで今日はいつもと違うアルか?」
「いやー、こっちの方が銀さんかっこいいでしょ、これで綺麗な女の子でも掴まえちゃおグハァッ」
「さいてーネ、ありえないアル。 早く行こう、定春。」
殴られた頬をさする銀時を新八がジト目で見る。
「…………ちっげーよっ、こっちのがあのマヨラー達に見つかりにくいだろっ。」
「…見つかりにくいって銀さん、見つかったらまずいことでもあるんですか?」
「あ……いや、ほらっ。せっかく三人で来たのに邪魔が入るとめんどくせーだろ。」
少しの間があり新八は、はい。と答えた。
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