Short Story
□父上へ
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「ー…殺すための剣なんて、捨てちゃいなさい。」
「己の護りたいものを護るために、剣を振るいなさい。」
曇天のそらを見上げながらふと、先生の言葉を思い出した。
子供たちは今、買い物に行っていて、万事屋には銀色だけだった。
ー…先生、聞いて。
俺、あの時、死にたかったのかもしれない。先生もいないし、周りの仲間も死んでいって、こんな世界から、早く抜け出したかったのかもね。
でもあいつらだけはどうしても護りたかったんだ。
俺の命を捧げてでも。
でもさ、俺途中で逃げちゃった。
どうしてもたえられなかったんだ。
あいつの左目だって…俺が護りきれなかった。
だからかな?
あいつが遠くに行っちまったんだ。
ヅラは…先生の好きな世界をつくるんだって。…そのために攘夷活動なんかやっちゃってさ。
ま、俺は手伝ったりなんかはしないけどさ、すごいよね。世界を敵に回してるんだよ。
ちゃんと…闘ってる。
高杉は…あいつは、先生を奪ったこの世界を壊すんだってさ。
でもさ、俺はもう他にも護りたいもんが出来ちまったんだ。
だから、あいつのやりたいことは、やらせらんねぇんだ。
そしたら、けんかしちゃって。
それでねー…
斬るって…殺すって言っちゃった。
一度は護りたいと思ったのに。
護ると決めたのに。
やっぱり俺は、何も護れなかったのかな…。
先生はあいつの事、大好きでしょ?だから、いや、昔からの仲間だから、あいつが心配なんだ。
ヅラみたいに近くにいないから、俺の知らないところであいつになんかあったら、、、死んじゃったりしてたらどうしよう。
おれ、どうしたらいいんだろう。
。