Short Story

□理想の世界
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「んんっ…ー、」

「あ、晋ちゃん起きた?」

「ー…ぎんと、き?」

いつもと違う様子に、どうかしたの?と聞いてみれば、

「夢を…みた。」

「どんな?」


「あぁ、俺は学生なんだよ、」

「え?なにそのカミングアウト、歳サバ読みですか。」

頭を軽くはたかれた。

「バカかてめーは、夢ん中でよ、俺は学生なんだよ。
で、てめーは国語の教師やってんの。そこにはヅラもいて、真選組やら辰馬までいやがる。
それで放課後になったら、ヅラやら土方やらみんなでふつーに外歩いてんだよ。そこには天人もいないし、俺が通ってるそろばん塾には、松陽先生までいたんだ。


…夢でも一瞬、期待しちまった。」

だから夢から覚めた瞬間に、あんな寂しそうな顔をしたのか…。


俺は、高杉の華奢な身体を抱き締めて、少し紫がかった髪に、鼻を埋めた。

「…大丈夫だよ晋助。」

「あァ?なんだ?」

「ううん、なんでもない♪
もう少し、こうしてていい?」

「ー…勝手にしろ。」





…いつかくるよ、真選組も、鬼兵隊も、ヅラも俺も高杉も、みんなで明るい空の下を歩ける日が、いつかくるから。





…でも、それまでは俺がそばにいてあげるから。
だからそんな寂しい顔しなくても大丈夫だよ。




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