Short Story
□貴方へ送る
1ページ/2ページ
あァ、今年もこの季節が来たか。
12月24日、鬼兵隊総督高杉晋助は、机に突っ伏しながら唸っていた。
そう、毎年鬼兵隊はこの日に年賀状を書くと決まっている。
あっちの星の天人やらこっちの星の天人にわざわざ書かなくてはならない。
鬼兵隊ともなれば、星の一つや二つとはいかず、知り合いなども入れると結局50枚近く書くことになってしまった。
正直、かなりめんどくさい。
来島や河上に任せればいいのだが、あいつらはなんかやることがあるとかでさっさと行ってしまい、結局一人で書くハメになったのだ。
あけましておめでとう、あけましておめでとうあけましておめでとうあけましておめでとうあけましておめでとうあんぱん食いてぇ。等と思いつつなんとか全員分書き終わった。
しかし、
…あまった。
ちょうど三枚。
「あ、辰馬には書いとかねーとな。」
…アイツには世話になっている。
…残り二枚。
いやいやいやいや、なんで俺があいつらに?
書く必要ねーだろ、喧嘩してんだし、つーか俺シリアスキャラだし、年賀状とか送るキャラじゃねぇし。
部屋で一人で悶々としていると、
「晋助様ぁ〜」
パァンっと襖を開け、来島が入ってきた。
「年賀状出しにいくっスよ〜」
「あー、ちょい待ってろ。すぐ終わるから。」
「じゃあまた後で来るっス」
そう言って部屋を出ていった。
出す・出さないはともかくとりあえず書こう。
―…できた。
そのまま他の年賀状と一緒に置いといた。
来島が呼びに来るのを待ちながら、床に寝転ぶ。
――もし、銀時があの年賀状を受け取ったら…びっくりすんだろぉな。
そんなことを想像したら、自然に口元がニヤケた。
それはまるで、小さい子供がいたずらする時のように、ワクワクした、真っすぐなものだった。
―――――
―――
――
いつの間にか寝ていた高杉が起きた頃には、日は傾いていて、綺麗なオレンジ色の空だった。
いや、
………年賀状は?
机の上に山積みされていた年賀状がない。
来島を探し出し、年賀状をどうした?ときく。
「晋助様が寝てたんで、うちらで代わりに出してきたっスよ♪」
「………全部か?」
「もちろんっス♪」
「……………。」
「ど、どうしたんスか?」
無言で自室に戻る高杉をオドオドしながら見る。
高杉はと言うと、年賀状の返事が来るか来ないか、年賀状に住所を書いてあったため、乗り込んでこないか。そのことだけが頭のなかをぐるぐると回っていた。
どーしよ、俺キャラ壊れてねーかな、いやいやそんなことはどうでもいい。銀時から返事……くんのか?
まぁ、その時に仲直りでも、してやらァ。