Short Story
□場所は、万事屋で。
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―…約束な。
ちゃんと守れよ?
――あぁ、わかってるよ
もう何年も前の今日、こんな約束をした。
毎年この日には、二人で酒を飲む約束。
銀色は、神楽を新八のところへ預け、寝室で酒を飲んでいた。
毎年この時期の祭は派手でいい。
今年の花火は最高じゃないか。
あの日も、こんなふうに花火が綺麗な日だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
あいつは、覚えているのか?こんな約束を…。
いや、今の現状を見る限り覚えてるわきゃねぇな。
高杉もまた、一人で酒を煽っていた。
もう何年前だろうか。
戦争が終わったとき…だから三年位前か…。
一人で酒を飲むことにももうなれ、しかし、今年こそはと思ったら、この間喧嘩した。
「ちっ、うまくねェな。」
こんな日に飲む酒は、ただ苦い水にしかすぎなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
去年までは、居場所が掴めなかったし、忙しかった。やっと会えたと思ったら、喧嘩する。
つくづく合わねぇな、俺達は、あのチビは謝ってくるのだろうか。
てゆーか謝れるのか?
そんな事を思っていた銀時だが、あぁ、無駄だ。と思い、受話器に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
高杉は、なんかもうどうでもよくなっていた。
毎年こんな事になるならいっそのこと……
そう思い、黒電話に向かったその時。
ジリリリリリッ
いきなり鳴った。
タイミングわりぃなと思いながら電話にでる。
「来年は一緒に飲んでやるから。」
「―――ッ!?」
そこには、今聞こうと思っていた懐かしい声。
驚いて声を出せないでいれば、相手が、何だシカトかコノヤロー、と。
「あ、あァ。」
「つか謝りやがれ。チビ」
「あ゛ァ?意味わかんねぇよ、」
――いきなりなんだ。
「銀さん、高杉君の部下にぶっ刺されて死にそうになったんだよなー。それに春雨?とか言うのにも売られそうになったし。
悲しかったなー、痛かったなー。」
たしかに、鬼兵隊のため、岡田の独断とは言え、酷いことをした。
「…………悪かっ、た。」
「…まーね、銀さん優しいから、許してあげるよ。笑」
……沈黙。
「――――高杉ィ。」
「なんだ?」
「約束。忘れてねぇから、
守ってやれなくて悪かった。ごめんな。」
なんだよアイツ、忘れてるもんだと思ってた。
「来年は、守れるんだよなァ?」
「あぁ、あの馬鹿達にも言っとくから。」
「頼むわ。」
「場所は……万事屋で。」
「わかった。」
「じゃあまたね、晋助。」
「またな、銀時。」
――――来年は、万事屋で。
おわり