Short Story

□壊して、殺して。
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――9月10日

俺は、万事屋に向かっていた。

アイツと関係が戻ってからちょうど一年、そして、俺と銀時の誕生日の、ちょうど真ん中の日だ。

この日は毎年、なんか変な感じがする。

―――運命、だろうか。
我ながら気持ち悪いことを言うもんだ。と心中ごちる。

銀時には、行くことを伝えてある。時間は言ってないから、こんなに早くに行ったら、驚くだろうか。

いつもの鍵の掛かっていないドアを開ける。

「おーい、銀時ィー、」

……返事がない。
またジャンプでも読みながら寝ているのだろうか。

遠慮もなしに居間に向かう。

「銀時ィー、寝てんのかァ?」

すっかりソファーで寝ていると思っていた俺は、素晴らしく裏切られた。


銀時は、いつもの社長椅子に座りながら、高杉を睨んでいた。

「何してんの?おまえ。」


「……………っえ?」


「だから、なにしてんの?」

目の前にいる、銀色からの殺気が、目線が、手を掛けている木刀が、本気でいることを伝える。

「次会ったら斬るって言ったよね?なに?わざわざ斬りに来たわけ?」

―――なに?はこっちのセリフだ。こいつは、紅桜ん時からの記憶が抜け落ちているのか?

「―――斬りに来た。って言ったら、どーするんだァ?」

動揺してるのがばれないように、装う。
その姿は、もう何年も見ていない、戦場でのあの姿と同じで、まさしく


―――――白夜叉。


そんな事を思っていると、腕を捕まれ、睨まれる。

―――身動きがとれない。
斬られる。殺される。
怖いのに、白夜叉に睨まれていると思うと、なぜか嫌じゃない。

その狂気に駆られた眼が、見下す冷たい紅が、おれを見ている。

―――この男になら、白夜叉になら、殺されるのも悪くない。
いや、その眼で、白夜叉に、斬られてみたい、殺されたい。

ニヤリ、と銀時…いや、白夜叉が笑う。

――斬られるっ、そう思った高杉が、とっさに目をつぶったが、一向に衝撃がこない。

「ハッ、なに?まぢでびびってんの?」

そんな声が聞こえて銀時を見上げると、殺気は消え、笑っていた。

「最初から騙してたのかよ?銀―」


「―いや?」

と言うが早いか、噛み付くようにキスされる。

―――あぁ、まだ、白夜叉だ。

「しろ、、や……しゃ?」

「…なに?」

「ど…ンァ……して?」

その瞬間、机に勢いよく倒される。

「――ンアァッ!?」


「…だまれ。」



あぁ、もうどうでもいい。
おれを、もっと壊して、好きにして?――白夜叉様。






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