Short Story
□迎えに。
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「のぅ、ヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。」
「もし、おんしらが吉田松陽さんって人に会ってなかったら、おんしや晋助は、こげに世界ば恨むことはなかったんじゃなかか?」
「―――ッ!?
………どういうことだ?」
「そのまんまの意味ぜよ」
「……………」
「いや、……すまんぜよ。」
「……俺も晋助もっ、松陽先生があっての、今の自分だ。」
「………」
「高杉は、あいつは、松陽先生が大好きで、好きすぎてしょうがねぇんだよ。」
「銀時!?……いつから起きてたんだ?」
「辰馬が話し出した辺りから。
………ヅラと高杉は、もっと別の未来があったかもしれねぇ。先生が死ぬ時にいなければ、って言うのは、会わなければいいことだからな。」
「……………」
「……………」
「でもっ、俺はッ、あの人に会ってなかったら、死んでたよ。
体は生きてたかもしんねぇけど、心は、きっと死んでた。」
「銀時……」
「先生は、なにを望んでんのかな。」
「先生の声が聞こえたらきっと――」
「おんしらの笑顔じゃなかか?」
「松陽さんは生きてる頃、なにを望んでいた?なにを見て、笑っておった?」
「おんしら三人の笑顔ぜよ。」
「「―――…三人。」」
「そうぜよ」
「一人、足りねぇな。」
「あぁ、しかし――」
「まだ間に合うぜよ」
「まぁ、生意気でチビだからな。」
「晋から謝るのなんて無理に等しいじゃろ。」
「…………そう、だな」
「よし、そうと決まったらチビも連れて甘味食いに行くかっ」
「アッハッハー、わしのおごりぜよぉ」
「まぢかっ!?辰馬大好きだっ」
「てかあいつは今どこにいるのだ?」
「わしに任せるぜよー、おーい、陸奥ーっ。」
「わかってるきに、出発するぜよ、早く乗ってくれ。」
「よーし、出発じゃあっ」
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